2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000近いエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

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投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2017/04/30

2017年4月のお仕事

2017年4月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※4月5日更新)


[WEB] 4月5日、「リアルサウンド」にて乃木坂46のアーティスト分析「乃木坂46、舞台版『あさひなぐ』薙刀初稽古詳細レポート メンバーからのコメントも」が公開されました。

[WEB] 4月5日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「1997年発売の“時代を変えた”ラウドロックアルバム5枚」が公開されました。

[紙] 4月5日発売「TV Bros.」2017年4月8日号にて、Maison book girlインタビューを担当・執筆しました。

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年5月号増刊 「けやき坂46」特装版にて、欅坂46・けやき坂46長濱ねるインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 4月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年5月号にて、欅坂46「不協和音」全曲解説を担当・執筆しました。(Amazon

投稿: 2017 04 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2017/04/25

INCUBUS『8』(2017)

いろいろびっくりしました。まず6年ぶりという事実にも驚かされたし、通算8枚目(インディーズ盤含む)という事実にも、そしてその音と携わったアーティストにも。

INCUBUSがユニバーサル(Island Records)に移籍したと伝えられたのが2015年のこと。彼らはその年に4曲入りEP『TRUST FALL (SIDE A)』をリリースしており、その後第2弾EPもしくはアルバムがリリースされるのではと噂されていたけど、結局その年も、そして翌年も大きな動きはなく過ぎていったのでした。

ところが、2017年に入ってすぐにきたるニューアルバムからの新曲「Nimble Bastard」が公開。これがダイナミックなサウンドとワイルドなテイストのロックンロールで、聴いて一発で気に入ったわけです。聞けば、この曲はかのデイヴ・サーディ(SLAYER、MARILYN MANSON、OASISなど)と制作したもので、続くニューアルバムもデイヴのプロデュースになるという。どんなアルバムになるのか、ただただ楽しみに待っていたところ……。

いきなりSKRILLEXがアディショナル・プロデュースおよびミックスで参加することになり、ここに完成したのが今回紹介する『8』になるわけです。

近年はメンバーのマイク・アインジガー(G)もEDM方面でソングライターやギタリストとして活躍していることもあり、SKRILLEXとも当然面識があるだろうし、そもそもSKRILLEXことソニー・ムーアはFROM FIRST TO LASTのフロントマンということで、INCUBUSにも憧れていたことから、このコラボレーションは必然だったのかもしれません。

アルバムの根幹となる楽曲群は、穏やかさを軸に新たな可能性を提示した前作『IF NOT NOW, WHEN?』(2011年)とも異なる、バラエティに飛んだハードロック/ラウドロックが中心。リズムひとつ取っても軽快さよりも、ビートの1音1音のヘヴィさが聴き手にズシリと響きわたるようなものばかり。じゃあ陰鬱としているのかというと、そんなことはまったくなく、するする聴けて、気づけばアルバムを聴き終えているという聴きやすさが伴っています。トータル11曲(日本盤ボーナストラック除く)で40分というランニングタイムも程よく聴けてしまう要因だと思います。

そして、そんな楽曲群をより聴きやすくしながらも、強烈なインパクトを耳に残す一因となっているのが、SKRILLEXによるミックスでしょう。このビート感(主に音色やサウンドアプローチ)は明らかに昨今のダンスミュージックからもののだと思うし、しかもそれをロック畑出身のSKRILLEXが手がけているんだから、そりゃ絶妙なバランス感で成り立つビートが完成するわけですよ。このヘヴィさは『MAKE YOURSELF』(1999年)の頃とも、『A CROW LEFT OF THE MURDER…』(2004年)の頃とも明らかに質感が違うもの。そりゃ曲のアプローチも違うんだから、全然異なるものになるわけですよ。

冒頭2曲(「No Fun」「Nimble Bastard」。後者はシングルバージョンと異なり、SKRILLEXが新たにミックスしたもの。上記のMVはミューミックス音源を用いたものです)のストレートで豪快なロックンロールから、サイケ色を散りばめたフォーキーなヘヴィロック「State Of The Art」、SMASHING PUMPKINSやSTONE TEMPLE PILOTSを彷彿とさせる「Glitterbomb」、これぞ王道INCUBUSナンバーな歌モノ「Undefeated」、ダウナーなモダンR&B「Loneliest」とどんどん表情を変えていく。かと思えば、コミカルなインタールード「When I Became A Man」を挟んで、キラキラ感のあるロック「Familiar Faces」、90年代のインターネットユーザーには懐かしい効果音から豪快なヘヴィロックへと続く「Love In A Time Of Surveillance」、そして唯一SKRILLEXが絡んでないシリアスなインスト「Make No Sound In The Digital Forest」から締めにふさわしいグランジ風ミドルヘヴィな「Throw Out The Map」で終了。いやいや、カッコ良いじゃないですか。

今年でメジャーデビュー20周年。INCUBSはまだまだいけるよということを示すには最適な1枚というだけでなく、こういうロックがヒットチャートに必要とされなくなりつつある2017年において、今後のシーンを左右する重要な作品かもしれません。



▼INCUBUS『8』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 25 12:00 午前 [2017年の作品, Incubus] | 固定リンク

2017/04/24

MUTATION『MUTATION III - DARK BLACK』(2017)

2013年に2枚のオリジナルアルバムをメールオーダーで発表した、ジンジャー・ワイルドハートのソロプロジェクトMUTATION。その後しばらく音沙汰がなかったものの、2016年末に再始動が伝えられます。しかも、今回はジンジャーとスコット・リー・アンドリューズ(EXIT INTERNATIONAL)の2人体制ユニットとして復活。実はこのEXIT INTERNATIONALについては知識がまったくなかったのですが、なにやら“ノイジー・ディスコ・パンク・バンド”とのこと。検索してみると、こんな感じらしく。

なるほど。

さて。約3年ぶりに届けられる通算3枚目のオリジナルアルバム『MUTATION III - DARK BLACK』ですが、基本路線は過去2作と一緒。ただ、今作は過去にも増してシンプルかつコンパクトな仕上がりとなっています。無軌道で先読み不可能な展開というMUTATION当初の魅力が、この3年の間に消え去ってしまったのは残念ですが、相変わらず薄皮が何枚もかかったスピーカーから爆音で鳴らされるノイズは健在。実はこの変化、ジンジャーよりもスコットの色合いが強いのかなと、先のEXIT INTERNATIONALの楽曲を聴いて感じた次第です。このシンプルさ、まさにそれですものね。

また、コンパクトさは楽曲の長さ(ほぼ2分台から3分台前半)がそのままアルバムのトータルランニングに影響し、全10曲で26分半というツッコミどころ満載の長さとなっております。過去2作が同じ10曲入りでそれぞれ38分程度だったことを考えると、いかに今回無駄を削ぎ落としたかが伺えます(いや、あの複雑怪奇な展開はまったく無駄じゃなかったけど)。あと、本作は1曲目「”.”」が7秒というのも大きい要因ですね。これ、曲じゃなくて単なるインタールード(というより話し声)なんですが。

あと、本作にはデヴィン・タウンゼンド、フィル・キャンベル(MOTORHEAD)、ジェイミー・オリバー(UK SUBS)などがゲスト参加しているようです。4曲目「Devolution」にはデヴィンがフィーチャリングされているようですが……まぁ確かにそれっぽい曲かなと。いや、自信ないです。だってノイズまみれだから(苦笑)。他にもゲストが多数参加しているようなので、きっと日本盤が6月に発売された際には、クレジットなどで明らかになるはずです。ちなみに僕は、年明けにPledgeMusicでダウンロード購入したので、音しか情報がない状況でつい最近まで過ごしてきました。

にしてもこのアルバム。終盤に進むにつれてそのノイズ度がどんどん増していくんですよね。曲の切れ目もわからないぐらいだし、ラストの「Deterioration」なんてもう、スピーカーの音割れまくり。正直自分が何を聴いているのかわからなくなります。

しかし、過去2作同様に本作も何度か聴き返すうちにやみつきに……なるんでしょうかね。個人的には2ndアルバムが一番難易度が高いと思ってたけど、ここまでど直球を投げられると逆にこれはこれでハードル高いような気が。ま、過去のアルバムみたいに数年後には理解できるようになるかもしれませんね。

そういえばMUTATIONはこの秋、来日の噂もあるんだとか。耳栓必須ですな、そりゃ。



▼『MUTATION III - DARK BLACK』
(amazon:国内盤CD)
(PledgeMusic:配信音源

投稿: 2017 04 24 12:00 午前 [2017年の作品, Ginger Wildheart, Mutation] | 固定リンク

2017/04/23

MUTATION『MUTATION II - ERROR 500』(2013)

THE WiLDHEARTSのフロントマン、ジンジャー・ワイルドハートが2012年に結成したノイズメタルプロジェクト・MUTATION。彼らが2013年、メールオーダーで限定リリースした2枚のアルバムのうち、今回は2ndアルバムにあたる『MUTATION II - ERROR 500』を紹介します。

MUTATIONのアルバムは当時、PledgeMusicを通じてメールオーダー限定で発表されましたが、この『MUTATION II - ERROR 500』のみマイク・パットン(FAITH NO MORE)のレーベル・Ipecaから輸入盤として少数ながら一般流通。当時は日本にほぼ未入荷という話ですが、僕は当時店頭でこのアルバムを購入した記憶があります。Amazonではなく、間違いなく店頭、しかもレコファンあたりだったと思います(CDに貼ってあるポップに「あのジンジャーの新プロジェクト」と記されていたので購入したのですから)。

前回のブログにも書いたように、このメタルノイズユニットMUTATIONはTHE WiLDHEARTSのアルバム『ENDLESS, NAMELESS』で試みた実験に再び挑戦したといえる内容。1曲の中に数曲分のアイデアが混ぜられたような非常に複雑な展開を持ち、ツーバスがドコドコ鳴り続けたかと思えば、急に耳障りの良いハーモニーやメロディが聴こえてくる。言い方が合っているかわかりませんが、プログレをよりモダンに、かつ暴力的にしたものがこのMUTATIONの本質ではないかと思います。

同時リリースとなった『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』(同作のみ一般流通なしで、この6月に日本限定でリマスター盤の流通開始)と比較すると、本作のほうがよりぶっきらぼうで投げっぱなし感が強いイメージ。それもそのはず(なのかどうかわかりませんが)、本作にはNAPALM DEATHのシェーン・エンバリー(B)が全面参加しているほか、日本が誇るMERZBOWが5曲目「Mutations」に演奏で、さらにTHE FALLのマーク・E・スミスが「Mutations」「Relentless Confliction」でリードボーカルでゲスト参加しているのです。

実はMUTATIONのアルバム中、初めて聴いたのは本作だったこともあり、バンドのもっともエクストリームな部分にいきなり触れて拒絶してしまった過去があります。しかし、あれから3年以上経った2016年末、リマスター再発された『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』を聴いたときはすんなり受け入れることができた。で、『MUTATION II - ERROR 500』を久しぶりに引っ張り出して続けて聴いてみたら……以前よりもすんなり楽しむことがでいた。けど、聴きやすさでは『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』のほうが一歩勝るかなと。2枚は同時期に制作されながらも、『MUTATION II - ERROR 500』のほうにゲストアーティストを多数迎えたことにより、ノイズミュージックとしての実験要素が強くなった。それが最初に聴いたときの“よくわからない、聴き手としての拒絶感”につながったのかもしれません。

本作は現在もAmazonで購入できるようですが、リマスターされデモ音源が追加された国内盤が6月21日にリリースされるようなので、ジンジャーの解説含めて堪能したい方はそちらの発売を待ってみるのも良いかもしれません。



▼『MUTATION II - ERROR 500』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 23 12:00 午前 [2013年の作品, Ginger Wildheart, Mutation, Napalm Death] | 固定リンク

2017/04/22

MUTATION『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』(2013)

THE WiLDHEARTSのフロントマン、ジンジャー・ワイルドハートが2012年に結成したノイズメタルプロジェクト・MUTATION。2013年にメールオーダーで限定リリースした2枚のアルバムが新作発売にあわせ、ついにここ日本でも6月に一般流通することになりました。ということで、今回はCDリリースに先駆けてMUTATIONの3作品について連日紹介していきたいと思います。

この『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』はPledgeMusicを通じてジンジャーのレーベルRound Recordsから流通され、すぐに廃盤。昨年末には同作のリマスター盤が再びPledgeMusicにて配信リリースされています。

聴いた順番でいうと、私は2013年にMUTATIONの2ndアルバムにあたる『MUTATION II - ERROR 500』を最初に聴きました。2枚同時にPledgeMusicから発表されたMUTATIONのアルバムでしたが、『MUTATION II - ERROR 500』のみマイク・パットン(FAITH NO MORE)のレーベル・Ipecaから一般流通され、当時店頭にて手に入れることができたのです。

ということで、『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』自体を聴いたのはリマスター盤からで、つい最近のこと。そこを踏まえた上でお読みいただけたらと思います。

“ノイズメタルユニット”と銘打っているとおり、MUTATIONのサウンドは非常にノイジーで耳障りの悪いものです。ジンジャーが過去に携わった作品でもっとも近いものといえば、おそらく1997年発売のTHE WiLDHEARTSのアルバム『ENDLESS, NAMELESS』でしょう。薄皮も何枚も被せたように奥にこもったサウンドと、その先からビリビリと聴こえてくるノイズ混じりの轟音。でもよく耳を澄ませると、そのもっと奥底にあるメロディは実にポップでキャッチー。それが『ENDLESS, NAMELESS』という実験作でした。

で、このMUTATIONで試されていることは、あの実験をさらに数歩押し進めたものと受け取ることができます。楽曲自体はとっつきにくいイメージの強い、変拍子を多用したリズムとギターリフ。そこにヒステリックにシャウトするジンジャーのボーカルが乗り、たまに耳馴染みのよい女性コーラスが登場する。1曲の中にいろんな要素が詰め込まれており、ぶっちゃけアイデア自体は数曲分がミックスされているんじゃないかと思わされるものばかり。でも全10曲ともに1曲3〜4分程度で、トータル39分に満たないという近年のアルバムの中でも非常にコンパクトなもの。なのに聴き終わったときにドッと溢れ出てくる疲労感。これぞ、1997年にジンジャーが目指したものだったのではないかと思わされるわけです。

あのときは、その実験を自身のバンドTHE WiLDHEARTSでやろうとしたことが失敗だった。でも、今は自由の身で、新たにやりたいことがでいたらその都度新しいプロジェクトを作ればいいだけのこと。そんな軽いフットワークのジンジャーが2012年というタイミングにこのプロジェクトに向かっていったのは、とても健全なことなのかもしれません。

そういえば本作のラストナンバー、「Carrion Blue 喜怒哀楽」という日本語混じりの不思議なタイトルになっています(原題表記がこうなっているのです)。また、この曲のハードコアぶり&サビのキャッチーさがたまらないんですよね。最近のユルいジンジャーに疑問を感じていた古くからのファンには、全力でオススメしたい1枚です。

正直、『MUTATION II - ERROR 500』を初めて聴いたときはそこまで良いとは思えなかったのに、2016年末に初めて『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』を聴いたときはすんなり入り込むことができた。単に聴くタイミングの良し悪しもあるでしょうけど、個人的には『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』のほうが少々とっつきやすい印象があります。とはいえ、それもMUTATIONというノイズメタルユニット限定でのお話ですので、初めてジンジャー・ワイルドハーツというアーティストの作品に触れるという方には本作はオススメしません。あくまであの偏屈なアーティストのことを理解できる方限定の勧め方ですので、誤解なきようお願いします。



▼MUTATION『MUTATION I - THE FRANKENSTEIN EFFECT』
(amazon:国内盤CD)
(PledgeMusic:配信音源

投稿: 2017 04 22 12:00 午前 [2013年の作品, Ginger Wildheart, Mutation] | 固定リンク

2017/04/21

SUICIDAL TENDENCIES『WORLD GONE MAD』(2016)

マイク・ミューア(Vo)率いるアメリカのクロスオーバー/ハードコアバンドの、通算12枚目となるスタジオオリジナルアルバム。実は彼らの新作を聴くのはずいぶん久しぶりのことで、振り返ればそれこそ90年代前半以来かも……と気づかされるわけです。そうそう、ロッキー・ジョージ&マイク・クラークのツインギター編成で、今ではMETALLICAの一員としておなじみのロバート・トゥルージロ(B)なんかが在籍していた頃です。当時はハードコアとスラッシュメタルの接近&融合を“クロスオーバー”なんて括りで呼んでいましたが、一時のSUICIDAL TENDENCIESはそのクロスオーバーさえ飛び越えて“まんまヘヴィメタル”みたいなことをやってましたけどね。

そんな彼らもすでに結成から30年以上を経たベテランバンド。オリジナルメンバーはマイク以外残っておらず、90年代半ばの再結成から在籍のディーン・プレザンツ(G)以外はかなり入れ替わっています。本作の制作に際してもリズムギター、ベース、ドラムを一新。新ドラマーにはなんと、元SLAYERのデイヴ・ロンバードが加わり、発表当時大きな話題となりました。SLAYER黄金期の土台を支えたデイヴがSUICIDAL TENDENCIESに加わると、どんなプレイを聞かせてくれるのか、と……。

さて、完成したこの『WORLD GONE MAD』というアルバム。オープングの「Clap Like Ozzy」というメタルファンならクスッとしてしまうタイトルの疾走ハードコアチューンからスタートします。スラッシュともハードコアとも受け取れるこの楽曲こそ、まさにクロスオーバーと呼ぶにふさわしい1曲。その後もヘヴィなミドルチューン「The New Degeneration」、どこかジャジーなテイストも含む「Living For Life」、バラード風ミドルヘヴィサウンドに泣きメロギターソロとラップ調ボーカルが乗る「Get Your Fight On!」(曲中盤でアップテンポになる展開はメタルそのもの)などバラエティに富んだ楽曲が続きます。

全体的にドラムがかなり前に出ている印象があるものの、かといってSLAYER時代ほど派手さはない。また新加入のベーシスト、ラー・ディアスのプレイもスラップを多用した派手なもので、デイヴとの相性も抜群。そこに派手に暴れまくるディーンのギターソロが加わると、不思議と我々がよく知る「80年代末から90年代前半のSUICIDAL TENDENCIES」とイメージがオーバーラップするのです。かといって、楽曲自体にはあの頃みたいに大袈裟な展開やアレンジは皆無なのですが。不思議です。

初期の作品に通ずるものがありつつも、しっかりメタル期とオーバラップする部分もある。なのにそれらの時期とは完全に一致するわけではなく、新しさ(今までのSUICIDAL TENDENCIESにはなかったような魅力)も感じられる。デイヴ・ロンバードを迎えたことでマイク・ミューアの心に再び火がついたのかもしれませんね。個人的にはハードコアやパンクリスナーよりもメタルファンにこそ触れてほしい1枚です。



▼SUICIDAL TENDENCIES『WORLD GONE MAD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 04 21 12:00 午前 [2016年の作品, Suicidal Tendencies] | 固定リンク

2017/04/20

THERAPY?『DISQUIET』(2015)

北アイルランド出身の3人組バンド、THERAPY?が2015年に発表した通算12枚目(インディーズからのミニアルバム2枚を含めたら14枚目)のオリジナルアルバム。オリジナル作品としては2012年の『A BRIEF CRACK OF LIGHT』から3年ぶりで、今作から新たにAmazing Recordsというレーベルに移籍しています。とはいえ、2003年の『HIGH ANXIETY』からは日本盤も発表されていないので、ここ日本で生活するリスナーにとってはそういった小さな話題はどうでもいい話かもしれませんが。

90年代半ばに若干ポップな作風でメジャーヒットを記録した彼らですが、1999年の5thアルバム『SUICIDE PACT – YOU FIRST』以降は初期のハードコア路線に回帰しつつも、独自のスタイルを築き上げてきたTHERAPY?。そんな彼らもすでに20年選手になり、大ヒット作となった2nd『TROUBLEGUM』(1994年)、3rd『INFERNAL LOVE』(1995年)がリリースから20年経ったことで古巣から2作のデラックスエディションも発売されました。当時のシングルカップリング曲や未発表テイクなどを含む2枚組(『TROUBLEGUM』のみ3枚組)は当時のファンには懐かしく、初めて彼らに触れるという若いリスナーには新鮮に映ったかもしれません。

そういった原点回帰的なリリースを経て発表された今作『DISQUIET』。1曲目の「Still Hurts」を聴いて驚いたファンは多かったのではないでしょうか。ここ最近の彼らにしては非常にストレートな、それでいてキャッチーなメロディと適度なヘヴィさを伴ったコンパクトな楽曲……つまり『TROUBLEGUM』『INFERNAL LOVE』で聴けた“おなじみの”路線だったのです。もちろん単なる焼き直しでは終わっておらず、そこには現在のTHERAPY?ならではの乾いたサウンドや重苦しさ・息苦しさもしっかり表現されています。

そのまま、こちらも初期ファンには嬉しい「Tides」へと続いていく構成。その後も『TROUBLEGUM』でのキャッチーさ、『INFERNAL LOVE』での若干宗教がかった暗くて冷たい感触がいたるところに感じられるのですから。とにかく本作はメロディが非常にわかりやすく、耳に残る楽曲が多い。もちろんそれ以前の(特にここ10年くらいの)作品も独自のスタイルが築き上げられており、あれはあれで嫌いではありませんでしたが、自分がTHERAPY?のどこに惹かれていたかを考えると、この原点回帰は大歓迎と言いたくなるわけです。

アンディ・ケアンズ(Vo, G)の声質やキーの低さに若干の寂しさを感じるものの、それ以外は否定のしようがないくらいにカッコいい楽曲ばかり。最初から最後まで、ここまですんなりと聴けてしまったTHERAPY?のアルバムは本当に久しぶりじゃないでしょうか。それを「引っ掛かりがなさすぎる」「ヤワくなった」と否定するリスナーもいるかもしれませんが、そういう方々が「Vulgar Display Of Powder」(タイトルはもちろん、PANTERAの名作アルバムタイトルをもじったもの)のような楽曲を聴いてどう思うのか、ぜひ聞いてみたいものです。

特にここ日本では黄金期と比べたら知名度がないに等しいTHERAPY?。リリースから2年も経ちましたが、いまだに飽きずに楽しめる本作は一聴の価値ありです。



▼THERAPY?『DISQUIET』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2017 04 20 12:00 午前 [2015年の作品, Therapy?] | 固定リンク

2017/04/19

THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』(2016)

本作はTHE WiLDHEARTSが1995年に発表した通算2作目のオリジナルアルバム『P.H.U.Q.』のリリース20周年を記念して、2015年9月に行われた再現ツアーからイギリス国内での複数公演からの音源をコンパイルした2枚組ライブアルバムです。近年はこういったアニバーサリーツアーで年に1回ツアーを行うのみの活動にとどまっているTHE WiLDHEARTSですが、それでもひと昔前や90年代を考えれば「新曲は出さないけどツアーはやってくれる」だけありがたいのかも……と、最近はこちら側も歳をとったせいで(苦笑)、彼らに対して優しく接することができるようになりました。あははは。

ま、冗談はさておき。このツアーの一環でここ日本にも2015年11月に来日しましたが、私自身チケットを取っておきながら体調不良(耳の病気で大音量を禁じられてました)のため行くことができず。彼らのアルバム中、もっとも好きな作品を完全再現するライブだけに足を運びたかったんですけどね。そういう意味ではこのアルバムのリリースは非常にありがたかったです。

お聴きいただけばわかるように、本作はディスク1(14曲)がアルバム『P.H.U.Q.』を頭の「I Wanna Go Where The People Go」からラスト(日本盤ボーナストラック除く)「Getting It」までを完全収録。ディスク2(6曲)はボーナスディスクという扱いで、ライブ当日にアンコールとして披露された5曲(トラック1はディスク1エンディングから続く「Don't Worry About Me」大合唱なので、実質5曲となります)が収められています。アンコールは『P.H.U.Q.』時期に限定されることなく、再結成後の「Stormy In The North, Karma In The South」といった近年のライブ定番曲、「Weekend」「29 X The Pain」といった懐かしのカップリング曲も含まれており、ファンには嬉しいセットリストとなっております。

また、ディスク1には「Jonesing For Jones」の後に、続くアップチューン「Woah Shit, You Got Through」のイントロ的な小楽曲「Up Your Arse You Fucking Cunt」も追加。ライブの流れを途切らせることなく挿入された遊び心といったところでしょうか、単なる完全再現で終わらせないあたりも彼らなりのこだわりというかジンジャー(Vo, G)のひねくれっぷりが伝わってきます。

さて、改めて『P.H.U.Q.』というアルバムをこういう形で聴くと、初期のメタル+パワーポップ感とその後『ENDLESS, NAMELESS』(1997年)で見せたノイジーでラウド、ハードコアな路線との中間に位置する橋渡し的作品だったんだなと気づかされます。もちろんその前後には不幸なアルバム『FISHING FOR LUCKIES』(1994年)の存在があるわけで、そこを含めての『P.H.U.Q.』というのは非常に理解できるのですが、前半のパワーポップ感と後半で見せるシリアスさとの落差には改めて驚かされます。まぁこのへんはジンジャー自身の当時置かれた状況や精神状態(ドラッグや心の病など含め)が大きく影響していたことは理解できるわけですが、それにしてもこのバランス感は本当に絶妙だったなと。あの時期でなければ作れなかった1枚だったんだなと実感させられました。

曲単位では再結成後も演奏される機会のある楽曲がいくつかあるものの、このタイミングで20年ぶりに披露された曲、あるいは当時ライブでも演奏されることのなかった楽曲などもあり、こういったアルバム再現ライブならではの魅力もあるこの作品。バンドのファンのみならず、これからTHE WiLDHEARTSを聴いてみようと思っている初心者にもぜひ聴いてほしいライブアルバムです。そう、もし聴くならあわせてスタジオ盤の『P.H.U.Q.』もチェックすると、なお一層楽しめると思いますよ。



▼THE WiLDHEARTS『NEVER OUTDRUNK, NEVER OUTSUNG: PHUQ LIVE』
(amazon:海外盤2CD

投稿: 2017 04 19 12:00 午前 [2016年の作品, Ginger Wildheart, Wildhearts, The] | 固定リンク

2017/04/18

THE ALMIGHTY『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』(1996)

THE ALMIGHTYが1996年に日本限定で発表したライブアルバム。当初本作は同年3月にリリースされた5thアルバム『JUST ADD LIFE』の日本盤ボーナスディスクとして発表されましたが、同作リリースからしばらくしてレーベルとの契約解除などがありバンドは解散を発表。それと前後して東芝EMI(当時)から発表された2枚のオリジナルアルバム『CRANK』(1994年)と『JUST ADD LIFE』の日本盤は廃盤となり、改めてビクターから、ボーナストラックを新たに追加して再発されるのです。その際、『JUST ADD LIFE』とこのライブアルバム『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』は切り離され、別売りとなったのでした。この『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』というタイトルも、この単独リリースの際に改めて付けられたものです。

さて、本作はタイトルからもおわかりのように、ここ日本で収録されたもの。『CRANK』を携えて1995年7月に敢行した二度目の来日公演から、大阪での単独ライブが収録されています。私自身は当時、日比谷野音で行われたDIZZY MIZZ LIZZYとのライブを観ているのですが、“90年代のMOTORHEAD”と例えられた彼らが3rdアルバム『POWERTRIPPIN'』(1993年)でグランジ/ヘヴィロックへと傾倒し、そこからさらにパンク度を増量させ最高の形態となった『CRANK』を携えてのライブということで……もう最高以外の表現がないくらい、本当に素晴らしいライブだったと記憶しています。

このライブアルバムには、その来日時の様子を生々しいサウンドで追体験できる貴重な音源が詰まっています。『CRANK』からの楽曲が中心なのは当然として、その前作『POWERTRIPPIN'』からの楽曲も『CRANK』を経たことでより“タメ”を生かしたダイナミックな演奏で聴くことができるし、1st『BLOOD, FIRE AND LOVE』(1989年)、2nd『SOUL DESTRUCTION』(1991年)からの楽曲もスタジオ音源よりもラフでパンキッシュ、それでいて濃厚なサウンドで表現されています。ぶっちゃけ悪いわけがないんですよ。

しかも、本作には当時発売前だった『JUST ADD LIFE』から、いち早く新曲「360」も披露されています。この曲を初めて生で聴いたときは、次のアルバムも『CRANK』の流れにある1枚だと思ってたんだけどなぁ……いや、『JUST ADD LIFE』は『JUST ADD LIFE』で大好きなのでまったく問題ないですが。

THE ALMIGHTYはこの解散後、2000年に再結成して2枚のアルバムを発表しますが、2002年に再解散。2006年に最初の解散時の布陣で再々結成し、新作を制作することなくライブ活動だけ行い、2009年には3度目の活動停止。フロントマンのリッキー・ウォリックはその後、THIN LIZZY参加を経てBLACK STAR RIDERSのボーカリストとして活躍中です。


Almighty_crankanddeceit
▼THE ALMIGHTY『CRANK AND DECEIT: LIVE IN JAPAN』
(amazon:国内盤CD


投稿: 2017 04 18 12:00 午前 [1996年の作品, Almighty, The] | 固定リンク

2017/04/17

HANOI ROCKS『ALL THOSE WASTED YEARS』(1984)

HANOI ROCKSがオールキャリア中唯一発表したライブアルバムが、1984年にリリースされた本作『ALL THOSE WASTED YEARS』。日本では『燃えるロンドン・ナイト』の邦題でおなじみの1枚です。

本作は1983年12月、イギリス・ロンドンにある有名クラブThe Marquee Clubにてライブレコーディングされたもの。ちょうど3枚目のオリジナルアルバム『BACK TO MYSTERY CITY』を発表したあとで、本国フィンランドのみならずここ日本やイギリスで知名度を上げていた時期の、バンドとして脂の乗った演奏&パフォーマンスを楽しむことができます。

『BACK TO MYSTERY CITY』からの楽曲はもちろんのこと、それ以前の楽曲……チープな録音技術と未熟な演奏力で表現された初期の名曲たちが、ライブレコーディングというバンドの持ち味をもっとも生かした形で再現されています。曲によっては原曲よりもテンポを若干落とすことで、よりルーズでワイルドな魅力が加わったものも多く、「Don't Never Leave Me」なんて後のアルバム『TWO STEPS FROM THE MOVE』収録の「Don't You Ever Leave Me」に近いテンポ&アレンジで生まれ変わっています。

それにしてもベンチャーズの「Pipline」カバーから始まり、そのまま「Oriental Beat」へとなだれ込むオープニングは何度聴いても鳥肌モノ。そこから狂気さえ感じさせる「Back To Mystery City」へつなぐ構成も、さすがの一言です。マイケル・モンロー(Vo, Sax)のボーカルもアルバム以上に野太くてワイルド、そこにアンディ・マッコイ(G)のヘタウマコーラスがかぶさることで生じる価格反応。聴いていて思わず“これぞロックンロール!”とガッツポーズを取りたくなってしまうほどです。

「Until I Get You」や先の「Don't Never Leave Me」といったバラードナンバーも独特の味を出してるし、のちにマイケル・モンローのソロライブでもお約束となった「Tragedy」〜「Malibu Beach Nightmare」のメドレー構成はロック史に残したい名演のひとつだと断言したい。そこからポップで味わい深い「Visitor」「11th Street Kids」へと続き、狂気に満ちたブルースナンバー「Taxi Driver」、聴いていて胸がチクチクするほどセンチメンタルな「Lightnin' Bar Blues」と本当に名曲・名演満載。ラスト2曲がカバー曲(アリス・クーパー「Under My Wheels」、THE STOOGES「I Feel Alright」、YARDBIRDSやAEROSMITHでおなじみ「Train Kept A-Rollin'」)で締めくくるのも、もはや鉄板。実際のライブとはセットリストは異なり、アルバム用に構成され直しているものの、ライブの臨場感やバンドの熱量、そしてアルバムとしての起承転結はきっちり保たれています。個人的にはAEROSMITH『LIVE! BOOTLEG』と並ぶ“死ぬまで聴き続けたいライブアルバム”のひとつです。

なお、本作には同タイトルのライブビデオも同時期にリリースされています。こちらはアルバムと比較的構成は似ているものの、収録時間は60分未満というちょっと物足りなさを伴う内容。途中でメンバーのインタビュー(短いコメント)が挿入されたりするという難はあるものの、あの当時のライブを映像でじっくり楽しめるという意味では非常に貴重な作品です。しかも、アルバムのほうではカットされた、マイケルがボーカルを務めラズル(Dr)がボーカルを担当する「Blitzkrieg Bop」(RAMONESのカバー)がラストに収録されているので、ぜひこちらも機会があったら観てほしいです。



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投稿: 2017 04 17 12:00 午前 [1984年の作品, Hanoi Rocks] | 固定リンク

2017/04/16

AEROSMITH『LIVE! BOOTLEG』(1978)

1978年にリリースされた、AEROSMITHキャリア初のライブアルバム。CDでは1枚のディスクにまとまってますが、アナログ盤は当時2枚組でリリースされています。

音源の大半は1977〜78年に、当時の最新作『DRAW THE LINE』(1977年)に伴うツアーで録音されたもの。つまり、バンドとしてはドラッグまみれで臨界点に達しつつあるか、達してしまってあとは落ちていくだけ……という絶妙なタイミングのライブなのです。選曲も1st『AEROSMITH』(1973年)から『DRAW THE LINE』までのベストセレクションといった内容。実際のライブのセットリストとは異なるものの、「Back In The Saddle」からヘヴィに始まり、そのままサイケデリックな「Sweet Emotion」へと流れていく構成はさすがの一言。演奏が進むに連れて演者の熱量が一気に上がり、それに伴いテンポも上がっていくという生々しさは、現代の“クリック重視”のライブとは一線を画するものがあります(ってこれ、現在のエアロを否定しているわけじゃないですよ。念のため)。

また本作にはスタジオアルバム未収録のオリジナル曲「Chip Away The Stone」やTHE BEATLESのカバー「Come Together」も収録。スタジオ音源は7インチアナログ盤やコンピ盤でしか聴けない貴重な楽曲を、当時のエアロらしいルーズだけど尖った歌と演奏で楽しむことができます。

さらに、本作の聴きどころのひとつとして、アナログ盤でいうところのD面(ディスク2のB面)、CDだとトラック14以降にとても貴重な音源が含まれています。それは、本作で最古の音源となる1973年のライブから「I Ain't Got You」「Mother Popcorn」の2曲。前者はジミー・リードやYARDBIRDSなどで知られるブルースのスタンダード、後者はジェイムズ・ブラウンのそれぞれカバーです。デビュー間もない頃のエアロはこういったカバー曲をかなりライブで披露しており、その音源はブートレッグなどでも確認することができます。ギリギリのところで正気を保っていた1977〜78年のエアロと、メジャーデビューして明るい未来を思い浮かべていた1973年のエアロ。これを並列で語っていいものか気になりますが、あの時点でこういう形でバンドの原点を思い出させてくれるのはエアロにとっても、そしてファンにとっても非常に意味のあることだったのではないでしょうか。

ちなみに、この2曲の後には1978年のライブから「Draw The Line」へとなだれ込むのですが、実はアルバムジャケットやブックレットには本来この曲はクレジットされていません。つまり、シークレットトラックとして収められているわけですね。これ、アルバムタイトルからもわかるように、当時横行していた海賊盤(Bootleg)に真っ向から対抗したもので、このクレジット漏れも“海賊盤によくあること”としてバンド側がちょっとした遊び心で手がけたんだとか。

このアルバムについては語りたいことが山ほどあるはずなのに、だけど無駄なことはあまり語りたくない気持ちもある。自分のロック人生を最初に変えてくれた、それくらい大切な1枚なんです。もし「AEROSMITHで一番好きなアルバムは?」と質問されたら、間髪入れずにこのアルバムを挙げることでしょう。



▼AEROSMITH『LIVE! BOOTLEG』
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投稿: 2017 04 16 12:00 午前 [1978年の作品, Aerosmith] | 固定リンク

2017/04/15

THE STRUTS『EVERYBODY WANTS』(2016)

2010年代後半のUKロック(主にHR/HM寄り)を牽引していくであろうバンド、THE STRUTSの記念すべきデビューアルバム。ここ日本では昨年8月の夏フェス『SUMMER SONIC 16』に国内デビュー前に突如出演したことでその名を知らしめたかと思います。今回紹介する1stアルバム『EVERYBODY WANTS』もすでに昨年春先から輸入盤で出回っていたので、そこで知ったという人もいるかもしれません。または、僕と同じようにたまたま観たMVに登場する“そのルックスと声・歌唱法がフレディ・マーキュリーっぽいフロントマン”ことルーク・スピラーに惹かれた人も少なくないはずです。

実は彼らのデビュー作、本国イギリスでは2014年7月に一度発売されています。しかし、リリース元の変更(Virgin EMI→Interscope)を経て、本国から国外(アメリカ)に向けたプロモーション展開にあわせて2016年3月に新曲を加えた構成で再発売。これが現在出回っている本作のベースになるものです。また、日本盤のみ今年初頭の単独来日公演にあわせて、同年2月に遅れてリリースされたこともあって、さらに新曲や未発表テイクなどを加えた内容。現行の輸入盤が13曲入り、日本盤はそこに5曲加えた全18曲入りなので、これから購入するなら輸入盤よりもちょっとだけお高い日本盤をオススメします。ジャケットは正直輸入盤のほうが好きですけどね。

さて、本作の内容です。先にルークのことを“そのルックスと声・歌唱法がフレディ・マーキュリーっぽいフロントマン”と例えましたが、楽曲自体もQUEENや古き良き時代のブリティッシュロックを現代的に解釈した楽曲がずらりと並びます。どことなく初期のQUEENみたいなロックンロール「Roll Up」やドラマチックなミディアムチューン「Mary Go Round」はまさにその好例。もしかしたら前者を聴いてTHE DARKNESSを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、こちらのバンドのほうがよりポップ色が強いので親しみやすいかもしれません。

また、シングルカットもされた「Could Have Been Me」「Kiss This」「Put Your Money On Me」にはブリットポップ以降のカラーも見られ、単なるハードロックでは片付けられない魅力が満載。黒っぽいロック「Dirty Sexy Money」あたりもデジタルテイストを加えたアレンジを施すことで妙に親しみやすくなっているし、「The Ol' Switcheroo」みたいにブラスやピアノを加えた強いビートのポップチューンにはBAY CITY ROLLERSを重ねたくなるし。ボーカルがやたらと前時代的(ルックス、歌唱法含め)なため、もしかしたらじっくり聴く前に引いてしまっている方もいるかもしれませんが、完全に食わず嫌いですよ。むしろ本作はHR/HMを通過していない、80年代〜90年代のブリティッシュロック/ブリットポップで青春時代を過ごした人にこそ聴いてもらいたい。と同時に、その頃をリアルタイムで知らない若い世代には、純粋にポップで親しみやすい楽曲満載のアルバムとして楽しむことができる。そんな多くの可能性を秘めた1枚だと思います。

再発続きで最初のリリースからすでに3年近く経過してしまってますが、今年8月には『SUMMER SONIC 17』での再来日が早くも決まりましたし、アメリカでも本格的な成功を収めたいはずなので、ぜひ年内に強烈な2ndアルバムを発表してくれないかな……と勝手に思ってます。

そういや自分、まだ生で観たことないんだよね。今年はサマソニで観ておきたいな。



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投稿: 2017 04 15 12:00 午前 [2016年の作品, Struts, The] | 固定リンク

2017/04/14

ARMORED SAINT『WIN HANDS DOWN』(2015)

ARMORED SAINTが2015年に発表した、通算7枚目のオリジナルアルバム。編成はジョン・ブッシュ(Vo)、ジョーイ・ヴェラ(B)、ゴンゾ・サンドヴァル(Dr)、フィル・サンドヴァル(G)、ジェフ・ダンカン(G)というデヴィッド・プリチャード(G / 1990年没)亡きあと不動の5人。ジョン・ブッシュのANTHRAX加入で動きが止まった(ていうか解散)時期もありましたが、1999年に再結成して以降は地道な活動を続けているようです。

本作は2010年発売の6thアルバム『LA RAZA』に続く5年ぶりの新作ですが、これが非常に素晴らしい内容でして。ぶっちゃけ、このバンドは1st『MARCH OF THE SAINT』(1984年)と現編成最初の『SYMBOL OF SALVATION』(1991年)以外まともに聴いてなかったのですが、この『WIN HANDS DOWN』はANTHRAXのジョン・ブッシュ参加作が好きな人、ヨーロッパ(主にイギリス)寄りのパワーメタルが好きな人なら絶対に気にいる1枚だと思います。

切れ味鋭いリフとパワフルなジョンの声が塊になって、適度な疾走感を伴い突進してくるようなオープニング曲「Win Hands Down」をはじめ、どこをどう切り取っても隙のない作風。1曲の中での起承転結もかなり練られており、聴き応えのあるものばかり。7分超えの「Muscle Memory」や「In An Instant」など、とてもドラマチックな楽曲も多く、1980年代初頭にLAで誕生しながらも正統派メタルの血筋を受け継ぐこのバンドの特異性はこういう部分に色濃く現れているなと、改めて実感した次第です。

そういえば、アルバム中もっとも荒くれパワーメタルな「With A Full Head Of Stream」にはゲストボーカルとして、パール・アデイ(ミート・ローフの娘で、ANTHRAXのスコット・イアンの嫁)が参加して華を添え……るとは言い難いほどパワフルな歌声を聴かせてくれます。この掛け合いもまたカッコよいし、なおかつその歌を盛り立てる楽器隊の演奏・アレンジも抜群。そこからドラマチックな大作「In An Instant」へと続く構成も素晴らしいし、ピアノとアコースティックギターを取り入れたバラード「Dive」、力で捩伏せる「Up Yours」で締めくくる流れも最高の一言。日本盤には「Dive」の“Deep Remix”という蛇足が加えられているので、できることならオリジナルの全9曲のみできっちり締めくくりたいです。

昨年秋には『LOUD PARK 2016』で待望の初来日も実現。とても熱狂的に迎え入れられ、大好評だったようですね。つい先日、ライブアルバム『CARPE NOCTUM』も発売されたばかりなので、オールタイムベスト的な同作とあわせてこの『WIN HANDS DOWN』に触れてみてはどうでしょう。



▼ARMORED SAINT『WIN HANDS DOWN』
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投稿: 2017 04 14 12:00 午前 [2015年の作品, Armored Saint] | 固定リンク

2017/04/13

DEEP PURPLE『INFINITE』(2017)

これがラストアルバム?と噂される、DEEP PURPLE通算20枚目のスタジオアルバム。前作『NOW WHAT?!』(2013年)から4年ぶりと、思っていた以上に間が空いてないんですね(その前の『RAPTURE OF THE DEEP』(2005年)から『NOW WHAT?!』の間隔8年も空いてたので)。

正直言えば、2000年代のパープルをそこまで真面目に聴いてきたわけではありません。リアルタイムでしっかり聴き込んでいたのは、リッチー・ブラックモア最終作『THE BATTLE RAGES ON…』(1993年)までで、スティーヴ・モーズ初参加作『PURPENDICULAR』(1996年)はぶっちゃけ熱心に聴いたほうではなく、その後も新作が出るたびに聴いたり聴かなかったり……という付き合い方でした。

今作に関しては、昨年末に先行公開されたアルバムのオープニングトラック「Time For Bedlam」の仰々しいイントロ&アウトロと、そこに挟まる“80年代以降のパープル”というアンバランスさが妙に引っかかり、ずっと気になっていたんです。「リリースされたら、ちゃんと聴こう」って。

で、発売された本作。どの楽曲も聴けば「あ、パープルだ」という要素が散りばめられたものばかり。それこそ70年代、80年代の彼らが好きな人、その頃の諸作品に触れた人なら必ず引っかかりのある1枚だと思います。オールドスタイルのロックンロールやブギーを軸にしつつも、重みのあるビート、プログレッシヴハードロック的アレンジなど、このバンドの歴史を総括するような楽曲がずらりと並び、そこにスティーヴ・モーズ(G)のツボを押さえたギタープレイと、ハードロックというよりはプログレチックなドン・エイリー(Key)のオルガン/シンセ/ピアノが加わることで、“古臭いのにどこか新鮮”という最初に「Time For Bedlam」を聴いて感じた“引っかかり”を楽しめるはずです。

ただ、イアン・ギランのボーカルに関しては……71歳という高齢のわりに健闘していると思いますが、やはり往年のシャウトは期待できないわけで。一定のトーンで歌われるボーカルのせいで、タイトな演奏とは相反する緩さが生じてしまっています。が、そこを差し引いて考えればなかなか良くできたハードロックアルバムとして楽しむことができるんじゃないでしょうか。いや、冗談抜きで、とてもリラックスして楽しめる1枚です。まさかパープルの作品とこういう向き合い方をする日が来るなんて、思ってもみなかったけど。

長年活動が続くロックバンドの加齢問題は、このDEEP PURPLEに限らずたくさんあります。JUDAS PRIESTやSCORPIONSも一時期引退を示唆していましたし。パープルが本当にこのアルバムとそれに伴うワールドツアーで活動を終了させるのかは現時点では不明ですが、仮にもしこのアルバムで最後だとしても誰も文句は言わないはずです。それに見合った優れた作品を作り上げたわけですから。


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投稿: 2017 04 13 12:00 午前 [2017年の作品, Deep Purple] | 固定リンク