2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000近いエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

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2017/03/31

2017年3月のお仕事

2017年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※3月17日更新)


[紙] 3月17日発売「月刊AKB48グループ新聞」3月号にて、乃木坂46生駒里奈&与田祐希、日刊スポーツ横山記者とともに「乃木坂46 5th BIRTHDAY LIVE」振り返り座談会に参加しました。

[WEB] 3月16日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「齋藤飛鳥『楽天ブックス特別店長 就任記念イベント』レポート&インタビュー」が公開されました。

[WEB] 3月13日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「『乃木坂46 5th BIRTHDAY LIVE』レポート」が公開されました。

[WEB] 3月13日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「2017年注目の海外ラウドロックバンド5選」が公開されました。

[紙] 3月8日発売「TV Bros.」2017年3月11日号にて、ドレスコーズ志磨遼平インタビューを担当・執筆しました。

[紙] 3月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年4月号にて、KinKi Kids堂本剛インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 3月3日全国公開の映画「We Are X」にて、劇場パンフレット内コンテンツを執筆しました。

[WEB] 3月2日、「ViSULOG」にてFAKE?のライブレポート「FAKE?デビュー15周年記念ライヴ「FAKE?15th Anniversary Live “The Queen's Banquet”」を開催!」が公開されました。

[WEB] 3月2日、「exiteニュース」にてFAKE?のライブレポート「KEN LLOYDのソロプロジェクト“FAKE?” 15周年記念ライブでINORANと久々共演」が公開されました。

[WEB] 3月2日、「SPICE」にてFAKE?のライブレポート「FAKE? 創設メンバーのINORANも駆けつけた15周年ライブ「みんないろんなカッコいいバンドをやってるから、FAKE?もカッコよくいられるんです」」を執筆しました。

[紙] 3月1日発売「別冊カドカワ 総力特集 BOOM BOOM SATELLITES」にて、TOSHI-LOW(BRAHMAN)×細美武士(the HIATUS、MONOEYES)対談、ピエール中野(凛として時雨)インタビュー、Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)インタビュー、ホリエアツシ(ストレイテナー)インタビュー、Kj(Dragon Ash)インタビュー、長添雅嗣インタビュー、関和亮インタビュー、福田洋子インタビュー、長嶋誠志インタビューを担当しました。(Amazon

投稿: 2017 03 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2017/03/23

ENUFF Z'NUFF『CLOWNS LOUNGE』(2016)

また随分と微妙な作品をぶっこんできたなぁ……というのが正直な感想。まぁそこも含めてENUFF Z'NUFFらしいっちゃあらしいんですが。

日本では2009年、海外では2010年に発表された前作『DISSONANCE』から実に7年ぶりに発表された本作『CLOWNS LOUNGE』は、1988〜89年頃に制作されたデモ音源をベースに、2004年に制作されつつも未発表だった楽曲、そして新たに2016年に録音された楽曲を含む、とても“ニュー”アルバムとは呼べない代物。もちろんZ'NUFFにはこれまでにも未発表音源をまとめたアルバムはいくつか発表されているので、これもその一環と考えれば全然受け入れられるんだけど……要は、現在バンドには往年のフロントマン、ドニー・ヴィ(Vo, G)が在籍していないのに、その彼が歌う楽曲が中心のアルバムを新作として発表するのはどうなの?という疑問が残るわけです。こればかりは、過去のケースとはまったく異なりますからね。

しかも、1988〜89年というと1989年のメジャーデビュー作『ENUFF Z'NUFF』発表前夜。メンバーもドニーのほか、現在もバンドに在籍するチップ・ズナフ(Vo, B)、2004年に亡くなったデレク・フリーゴ(G)、バンド脱退後にヴィンス・ニールのソロプロジェクトに加わるヴィッキー・フォックス(Dr)という懐かしい布陣で、演奏スタイルも中〜後期(1990年代後半以降)とは異なる“もろに”ハードロックスタイル。楽曲の質感もその系統ですが、メロディが持つポップさ、普遍性はのちの彼らにも通ずる……というか、この時点ですでに一貫していたんだなと気づかされます。そう、“あの頃のENUFF Z'NUFF”が好きな人にはうってつけの1枚なのですよ(ただし、あくまでデモ音源がベースなので、それなりの音質。そこにこだわる人はご注意を)。

しかし、そこに現体制……チップがボーカルを務める楽曲も含まれていて、それがしらじらしくアルバムのオープニングを飾るんだから、なんとも言えない気持ち悪さを冒頭から感じてしまうんです。過去の遺産(と、世の中的には言えないレベルかもしれないけど)を食い潰す、あるいは過去の名声に便乗する……ドニー時代を愛する自分からしたら、そう見えてしまうアルバムなんです。

そんな中、アルバム中盤に突如登場する「The Devil Of Shakespeare」。この曲のみ2004年の録音なんですが、ボーカルを担当するのが元WARRANTのジェイニー・レイン。彼も2011年にお亡くなりになってますし、そんなことを考えながら聴くとよりいたたまれない気持ちになってしまうのです(ちなみにリードギターはSTYXのジェイムズ・ヤングがプレイ)。

彼らも5月に開催されるL.A.メタル系フェス『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』で久々に来日。「あれ、L.A.関係あったっけ?」という疑問も残りますが、“ドニーがいないZ'NUFF”を観て現実を受け入れるしかないのでしょうか。いい曲がそれなりに多い本作を聴くたびに、モヤモヤした気持ちになってしまうのです。



▼ENUFF Z'NUFF『CLOWNS LOUNGE』
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投稿: 2017 03 23 12:00 午前 [2016年の作品, Enuff Z' Nuff, Warrant] | 固定リンク

2017/03/22

STEPHEN PEARCY『SMASH』(2017)

5月13、14日に幕張メッセイベントホールで開催が決まった、L.A.メタル界隈のレジェンドたちが一堂に会する屋内フェス『L.A. METAL SUMMIT in TOKYO』。こちらの2日目ヘッドライナーとして出演するのがスティーヴン・パーシー、ウォーレン・デ・マルティーニ、フォアン・クルーシェ、カルロス・カヴァーゾによるRATT。もはやボビー・ブロッツァーのRATTはどこへやら(日本では確実に受け入れられないだろうけどね)。

そんな、あれこれ慌ただしくなり始めたRATT界隈から年始にスティーヴン・パーシーの4thソロアルバム『SMASH』がリリースされました。ソロとしては2008年の『UNDER MY SKIN』以来約9年ぶり、直近のリリースとなると2010年のRATT『INFESTATION』以来約7年ぶり。その間にスティーヴンも59歳になってしまいました……。

さて、アルバムはダークなスローナンバー「I Know I'm Crazy」からスタート。「全然声が出てないじゃん……」な低音ボイスに若干不安になりますが、2曲目「Ten Miles Wide」以降は我々がよく知る“Voice of RATT”を堪能することができます。安心した。

楽曲自体もメロディ、テンポ感含めRATTの延長線上にあるナンバーばかりで、往年の彼を知るHR/HMファンなら間違いなく楽しめる1枚だと思います。また「Shut Down Baby」「What Do Ya Think」「Summers End」みたいなLED ZEPPELIN風ヘヴィブルースも含まれており、同系統の楽曲が多い本作中で程よいアクセントとなっています。

そう、もともとRATTって決して楽曲の幅が広いタイプのバンドではなかったし、スティーヴン自体も幅広く何でも歌えるタイプのシンガーではないので、この金太郎飴的アルバムは聴く人によっては退屈と感じてしまう可能性もゼロではありません。RATTの全盛期を知らない若い子たちがこれを聴いてどう感じるのか、非常に気になるところです。

ちなみにレコーディングに参加しているのは、2005年からスティーヴンのソロバンドでの片腕的存在Erik Ferentions(G)、初期RATTやROUGH CUTTのメンバーだったMatt Thorn(B)、WHITE LIONやザック・ワイルドのPRIDE & GLORYにも在籍した経験を持つGreg D'Angelo(Dr)。ギタープレイからはRATTほどの強い個性は感じませんし、耳に残るフレーズも少ないのですが、楽曲のメロディ自体はクセになるものが多いのも事実。そういう意味では“Voice of RATT”の個性を存分に生かした、“Voice of RATT”のためだけに作られたアルバムと言えるでしょう。スティーヴンの歌を最良の形で楽しむ作品集。個のぶつかり合いを楽しむRATTとは異なる作風ではあるものの、これもまた“もうひとつのRATT”と言えるかもしれませんね。



▼STEPHEN PEARCY『SMASH』
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投稿: 2017 03 22 12:00 午前 [2017年の作品, Ratt, Stephen Pearcy] | 固定リンク

2017/03/21

METAL CHURCH『XI』(2016)

METAL CHURCHにマイク・ハウ(Vo)が復帰したと知ったときは、正直驚きました。デヴィッド・ウェインに続く二代目ボーカルとして3rdアルバム『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)からメジャー落ちしての5thアルバム『HANGING IN THE BALANCE』(1993年)までの3作に参加し、1994年の脱退後は音楽業界から引退していたその人が、20年以上ぶりにシーンに復帰するのですから。しかも新作まで完成させてしまった……それが今回紹介する、2016年3月にリリースされた通算11作目のスタジオアルバム『XI』です。

僕自身METAL CHURCHをちゃんと聴き始めたのが『BLESSING IN DISGUISE』ですし、一番好きな作品が(賛否あるでしょうが)4枚目の『THE HUMAN FACTOR』(1991年)なので、この復帰にはもちろん喜んだのですが、同時に「20年もブランクがある人が再び表舞台に出ちゃっても大丈夫なのか?」という不安も多いにあったわけで。正直、デヴィッド・ウェインが再びMETAL CHURCHに復帰して以降の作品にそこまでの魅力を感じていなかった(主にボーカルパフォーマンス面で)ので、その不安はより強かったというのがありました。

しかし、いざ完成した本作『XI』を聴いて……「Reset」「Killing Your Time」の2曲に完全に打ちのめされました。いやいや、往年の輝きそのまんまやん、と。しかも、「Reset」でのハイトーンと凄みの効いたロウトーンのツインボーカルは鳥肌モノ。そうそう、この声この声!と膝を叩いたのは言うまでもありません。

僕が聴いていた80年代末〜90年代初頭に在籍したメンバーは、もはやマイク・ハウ以外誰もいません。バンドの創始者であるカート・ヴァンダーフーフ(G)はあの頃、ソングライティング面ではバンドに関わっていましたが表舞台には立っていませんでしたし。そういう意味では全盛期に関わったメンバーが2名はいるわけですが……それでも別モノ感が多少あるかな、同じバンド名だけど。

とはいえ、楽曲自体はファンがイメージするMETAL CHURCHにもっとも近い形ではないでしょうか。先に触れた冒頭2曲しかり、アコースティックギターを上手に取り入れたドラマチックな展開を持つ「No Tomorrow」「Signal Path」もいかにもだし、特に後者のイントロではかの「Badlands」(『BLESSING IN DISGUISE』収録)を思い浮かべてしまいましたしね。「Sky Falls In」や「Blow Your Mind」のダークさも、「Needle And Suture」の楽器隊が一丸となったザクザク感も、「Soul Eating Machine」のどこか日本のV系にも通ずる雰囲気も、すべてが懐かしく響く……そう、目新しさはどこにもありません。古くからのファンなら安心して楽しめる1枚でしょうし、当時を知らない世代には「古臭いけど、ボーカルの声が個性的だし、曲もパワーメタルっぽいし、いいんじゃない?」と少しは響く要素があるのかな……そう願っております。

唯一残念な点を挙げると、収録時間が長いこと。全12曲(ボーナストラック含む)と普通に考えれば多すぎるようには感じませんが、7分台の楽曲が2曲もあることからわかるように、1曲が比較的長いんです。その結果、約64分という結果に。後半に進むにつれて似たり寄ったりの楽曲がいくつか登場するので、そこはうまく絞ってほしかったな。そうすれば、アルバムとしてもっと締まった内容になったはずなので。そこだけが勿体ない。本作は“良い曲ばかりを詰め込めば良いアルバムになると、必ずしも言い切れない”というわかりやすい例かもしれませんね。



▼METAL CHURCH『XI』
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投稿: 2017 03 21 12:00 午前 [2016年の作品, Metal Church] | 固定リンク

2017/03/20

RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』(2013)

HAREM SCAREM、オジー・オズボーンと続いたので(『TRIBUTE』は3月19日に紹介しようとは決めていましたが、その前にHAREM SCAREMを取り上げるというこの流れは意図的ではありませんでした)、今回はその2つが絶妙な形で合体したRED DRAGON CARTELを紹介したいと思います。

RED DRAGON CARTELはオジー・バンドの二代目ギタリスト、ジェイク・E・リーがBADLANDSの2ndアルバム『VOODOO HIGHWAY』(1991年)以来22年ぶりに本格始動させたバンドRED DRAGON CARTELの1stアルバム。日本では2013年12月、海外では2014年1月にリリースされています。アルバムではHAREM SCAREMのドラマー、ダレン・スミスが大半の楽曲でボーカルを務めていますが、4曲でゲストボーカルも採用。「Feeder」にはロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、「Wasted」にはポール・ディアーノ(元IRON MAIDEN)、「Big Mouth」にはマリア・ブリンク(IN THIS MOMENT)、「Redeem Me」にはサス・ジョーダンと男女/ジャンル問わずさまざまなシンガーがジェイクの楽曲を歌っています。

1曲目「Deceive」の冒頭、オジーの「Bark At The Moon」を彷彿とさせるカミソリギターリフに歓喜したHR/HMリスナーは非常に多いのではないでしょうか。僕も間違いなくそのひとりで、それにつづくダレンのハスキーなボーカル含め非常にカッコよくて「これは期待できる!」とすぐに確信。もちろんその確信に間違いはなく、曲によってはインダストリアル調のアレンジを含むものもありますが、基本的にはジェイクのキャリアを知っている人なら納得できるものばかりでした。しかもBADLANDSで傾倒したブルースロックではなく、オジー・バンド在籍時を思わせる楽曲やプレイも豊富で、「ようやくこっちの畑に戻ってきてくれた!」とアルバムを聴き進めるうちに頰が緩んでいったものです。

「Wasted」でのモダンなアレンジはどことなく最近のオジーにも通ずるものがあるし、「War Machine」なんて完全にBLACK SABBATHリスペクトなアレンジだし。そりゃそうだ、本作のエグゼクティヴ・プロデューサー&ミキサーはオジーの近作を手がけるケヴィン・チャーコなんだから。それにザックはオジーの代表作『BARK AT THE MOON』(1983年)、『THE ULTIMATE SIN』(1986年)のメインソングライターでもあるわけで、“オジーっぽさ”がゼロなわけない。ダレンがライブでもボーカルを務めていることから、この形態がバンドとしては正しいんだろうけど、アルバム制作時はそこまでパーマネントなものとしては考えてなかったから、こういう作品になったのかもしれないですね(そのダレンも一時、バンドを脱退していますし。ますますバンド感が薄いような)。

オジーやサバスが好き、特にジェイク時代が好きという人なら間違いなく気に入る1枚。オジーっぽい曲を女性ボーカルが歌うと……という興味深い試みも楽しめますし。バンドっぽさは本当に希薄だけど、HR/HMファンならジェイク・E・リーというアーティストの実験の場として素直に受け入れられるはずです。



▼RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』
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投稿: 2017 03 20 12:00 午前 [2013年の作品, Badlands, Cheap Trick, Harem Scarem, Ozzy Osbourne, Red Dragon Cartel] | 固定リンク

2017/03/19

OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』(1987)

このアルバム『TRIBUTE』の主人公、ランディ・ローズというギタリストは今から35年前の今日、突然この世から去ってしまいました。僕がHR/HMを聴き始めるちょっと前の出来事で、僕がオジー・オズボーンというHMアーティストを知ったときにはすでにその隣にはジェイク・E・リーという日系ギタリストが立っていました。

『TRIBUTE』は1987年3月19日、まさにランディが亡くなってから5年経ったその日にリリースされた2枚組(アナログのみ。CDは1枚)ライブアルバムです。実は僕自身オジーの作品に関して、当時はまだリアルタイムで発表されたアルバムしか聴いておらず、この『TRIBUTE』を通じて初めて『BLIZZARD OF OZZ』や『DIARY OF A MADMAN』の楽曲に触れました。いや、もしかしたら一部のBLACK SABBATHナンバーもここで初めて聴いたのかな。ちょっと記憶があやふやですが。あと、オジーのライブではおなじみ、オープニングSEに使われているあのクラシッックナンバーが、カルミナ・ブラーナの「おお、運命の女神よ(合唱)」だと知ったのは、もうちょっと時間が経ってからのことでした。

ボーカルに関してはオジーがあとからダブルで録り直していますが、そのほかの演奏に関しては(特にギターパートは)無修正。ところどころにミスも見られますが、それがライブならではの緊張感を生み出しており、他のオジーのライブ作品とは異なる空気感を作り上げています。

楽曲に関しては、今さらここで書くまでもないでしょう。名曲しか入っていません。そんな中でも特に「Mr. Crowley」は、オリジナルのスタジオバージョンを超える仕上がりだと思います。僕が『TRIBUTE』を先に聴いてしまったからというのもありますが、『BLIZZARD OF OZZ』でのスタジオバージョンはちょっと物足りないような……って贅沢言ってますね。

圧巻なのは、「Revelation (Mother Earth)」〜「Steal Away (The Night)」の組曲的構成と、それに続くトミー・アルドリッジのドラムソロ、そこからランディの長尺ギターソロを含む「Suicide Solution」でしょうか。この山場があるから、そのからサバス3連発(「Iron Man」「Children Of The Grave」「Paranoid」)でライブ本編を大盛り上がりで締めくくれるわけです。

そうそう、本作には唯一のスタジオトラックにしてレア音源の「Dee (Randy Rhoads Studio Out-takes)」が、アルバムの最後に収録されています。『BLIZZARD OF OZZ』に収録されているクラシックギターのインスト「Dee」のアウトテイクなわけですが、ギターを爪弾きながらところどころで飛び出すランディの生声になぜか涙腺が……本来なら世に出すべき音源ではないのかもしれませんが、このテイクがラストに置かれることで温かい気持ちでこのアルバムを聴き終えることができる、絶対になくてはならない音源なのです。

このアルバム、最初はレンタルで借りたんだよね。しかもレコードだったなぁ……いつ聴いたんだっけ。中学卒業したあとの春休み? それとも高校に入学してから? それは記憶が定かじゃないんだけど、間違いなくこの年よく聴いたアルバム(というかカセット)のひとつでした。そして今でもパソコンやスマホの中に必ず入っているアルバムのひとつでもあります。

今日は『TRIBUTE』だけじゃなくて、『BLIZZARD OF OZZ』も『DIARY OF A MADMAN』も聴き返してみようかな。



▼OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』
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投稿: 2017 03 19 12:00 午前 [1987年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/03/18

HAREM SCAREM『MOOD SWING』(1993)

カナダの4人組HRバンドHAREM SCAREMが1993年にリリースした2ndアルバムにして、ここ日本でのデビュー作『MOOD SWING』。発売から20年以上経った現在も、このアルバムが放つ魅力はまったく色褪せていません。

1993年というと、世の中的にはHR/HMが完全に“過去のもの”に成り下がり、アメリカやヨーロッパではNIRVANAやPEARL JAM、SMASHING PUMPKINS、ALICE IN CHAINSといったグランジバンド、そのフォロワー的に登場したSTONE TEMPLE PILOTSなどがチャートやツアーで成功を収めていた時期、翌1994年4月にカート・コバーン(NIRVANA)が自殺したのと同じ頃から少しずつシーンは停滞していくことになるのですが、90年前後に活躍したHR/HMバンドの多くはセールス面で相当の苦戦を強いられ続けます。その結果、グランジ寄りのサウンドを取り入れ始めたり、ひどい場合はメジャーレーベルからドロップし(契約解除され)たり……しかし、ここ日本では少しだけ状況が異なりました。そう、日本ではまだHR/HMは死んでいなかったのです。

そんな状況下で発表された『MOOD SWING』というアルバム。とにかく冒頭2曲(「Saviors Never Cry」「No Justice」)のパワフルかつメロディアスなスタイルに、一発でノックアウトされたのをよく覚えています。ギターソロが死に絶えた時代にここまで弾きまくるか!というピート・レスペランスのプレイは圧巻だし、ハスキーさがいい味を出しているハリー・ヘスのボーカルも気持ちいい。楽曲はDOKKENが一番良かった頃を彷彿とさせつつも、アレンジやコーラスワーク、サウンドプロダクションからはDEF LEPPARDの影響が強く感じられる。なんだこれ、本当に1993年のアルバムか!?と最初は疑ったほどです。

ポップで軽やかな「Stranger Than Love」が終わると、本作のハイライトである「Change Comes Around」へ。5分という決して長くはない時間の中にHR/HMの起承転結がぎっしり詰め込まれたこの曲は、ボーカルも演奏もメロディもアレンジも「これが僕たちの求めるHR/HMのカッコよさだ!」と力説したくなるほどで、リリースから何年経とうがアンセムなのに変わりない。いやぁ、今もこの曲聴いてますが、ライブでの盛り上がりが目に浮かびますよ……。

もちろんその後も“かゆいところに手が届く”楽曲群目白押し。ソウル&ブルースフィーリング抜群な「Jealousy」、80年代の残り香が感じられる「Sentimental Blvd.」、ギターインスト「Mandy」からモダンなハードナンバー「Empty Promise」、歌と同じくらいギターも主張し続けるバラード「If There Was A Time」、“声”のみで構成された異色作「Just Like I Planned」、冒頭のギタープレイが鳥肌モノのダイナミックなHRチューン「Had Enough」……本当、捨て曲一切なし。

そういえば本作発売20周年を記念して、2013年には再レコーディングアルバム『MOOD SWING II』もリリースされていますが、最初に聴くならまずはオリジナルのこちらから。日本では続く3rdアルバム『VOICE OF REASON』(1995年)の評価が非常に低いですが、僕としては本作と同じくらいに好きな作品です。なので下手にベスト盤などに手を出すよりは、『MOOD SWING』と『VOICE OF REASON』の2枚を中古でゲットしたほうがいいと思いますよ。



▼HAREM SCAREM『MOOD SWING』
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投稿: 2017 03 18 12:00 午前 [1993年の作品, Harem Scarem] | 固定リンク

2017/03/17

TNT『TELL NO TALES』(1987)

TNTといえば、日本では1989年の4作目『INTUITION』がスタンダードかもしれませんが、僕としてはその前作『TELL NO TALES』のほうがこのバンドらしくていいな、と勝手に思っています。事実、最初に聴いた彼らのアルバムもこの『TELL NO TALES』でしたし。

2ndアルバム『KNIGHTS OF THE NEW THUNDER』(1984年)レコーディング直前に加入したトニー・ハーネル(Vo)が、楽曲制作でも本格的に参加したのが1987年リリースの3rdアルバム『TELL NO TALES』。すでに本国ノルウェーではそれなりに人気のあったTNTですが、このアルバムは初にして唯一の本国1位を獲得しています。シングルカットされた「10,000 Lovers (In One)」もノルウェーチャート2位を記録。また、アルバムはアメリカでも初めてBillboardにチャートイン(100位)するなど、世界規模でも少しずつ成功を収めつつありました。

「Everyone's Star」からスタートする本作は、トニー・ハーネルのハイトーンボーカルとロニー・ル・テクロ(G)の圧倒的にテクニカルなギタープレイに魅了される作品集。同曲、そして続く「10,000 Lovers (In One)」はともにシングルカットされるだけあって、非常にポップで親しみやすいメロディを持つ楽曲たちです。そこからライブの定番アップチューン「As Far As The Eye Can See」へと流れる冒頭3曲の構成は、TNTの全作品の中でも出色の出来だと思います。

テクニカルなギタープレイが耳に残る1分少々のインスト「Sapphire」が次曲の序章的な盛り上がりを作ると、続く「Child's Play」ではトニーの圧倒的な歌とQUEEN的なオーケストレーションが楽しめる。そこから再びクラシックギターによる短尺インスト「Smooth Syncopation」へと流れていき、「Listen!」のハーモニーが静寂を切り裂くかのように「Listen To Your Heart」へと突入。さらにヘヴィなミドルナンバー「Desperate Night」、泣きの名バラード「Northern Lights」とクライマックスに向けて盛り上がっていきます。そして、終焉を告げるドラマチックなインスト「Incipits」から高速メタルチューン「Tell No Tales」で幕を下ろす。ここまで約30分、本当にあっという間です。

次の曲の序章的インストが3曲も入っているので、全11曲とはいえ歌モノナンバーは計8曲。しかもトータルランニング30分というのは1987年当時としても非常に短い作品です。特に時代はアナログからCDへと移行しつつあった時期ですから。でも、長ければいいってもんじゃない。ここまでバラエティに富んでいて完璧な内容を30分に凝縮できているんだから、当時のTNTは只者じゃなかったんだと思います。ここでの成功が、続く『INTUITION』へとつながるわけですからね。

北欧メタルとか呼び方がいろいろあって何が正解かわからないけど、この『TELL NO TALES』に関しては純粋に“ヨーロッパ出身のHR/HMバンドの作品として優れた1枚”、それで十分だと思います。



▼TNT『TELL NO TALES』
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投稿: 2017 03 17 12:00 午前 [1987年の作品, TNT] | 固定リンク

2017/03/16

FIREHOUSE『FIREHOUSE』(1990)

WARRANTと同じく、ギリギリHR/HMブームの恩恵を受けることができたのが、1990年に本国デビューを果たしたアメリカの4人組バンドFIREHOUSE。彼らのデビューアルバム『FIREHOUSE』は同年8月にリリースされましたが、結成自体はその前年1989年のこと。意外とトントン拍子でデビューまでこぎ着けたんですね。つまり、ライブでの生え抜きということではなく、単純に楽曲が認められたということなのかもしれません。

ところが、ここ日本でのCDデビューはそこから半年以上経った1991年4月のこと。そう考えると、デビュー時のFIREHOUSEはそこまで好待遇というわけではなかったのかな。それに、本国と日本での推し曲のタイプがここまで違うか?というのも興味深いバンドだったし。日本ではマイナーメロHR「All She Wrote」がシングルカットされ、本国ではアーシーさも感じられるアメリカンロック調の「Don't Treat Me Bad」をシングル化。アルバムジャケットも海外盤の“美女が放火すると言わんばかりに火のついたマッチ棒を持つ”デザインから、日本オリジナルのもの(メラメラと燃える炎の中にメンバー4人のシルエットを浮かび上がらせたもの)に変更されています。

で、日本デビューと前後して「Don't Treat Me Bad」はBillboardチャートぐいぐい上昇して、全米19位という記録を残します。これが正しい選択だったということなんでしょうね。ちなみに「All She Wrote」ものちにアメリカでシングルカットされましたが、58位と低調な結果で終わっています。

続く2ndシングルは名バラード「Love Of A Lifetime」。この曲が全米5位という大ヒットとなり、アルバムも最高21位、計200万枚を売り上げる、デビュー作としては上出来な結果を残します。

「Don't Treat Me Bad」のようにアコースティックギターをうまく取り入れた土着的な楽曲は、この時点ではFIREHOUSEの軸ではなかったのですが、のちの“アンプラグド”ブームと結びついてアコースティックアルバムを出すまでにつながっていきます(これが形となるにはもう数年かかるのですが)。が、やはりこのバンドの強みは「All She Wrote」や「Overnight Sensation」で聴ける繊細なメロと、「Rock On The Radio」「Snake & Tumble」「Don't Walk Away」などで味わえるワイルドでダイナミックなハードロックサウンドだと思います。その2面性をしっかり使い分けることができるからこそ、「Don't Treat Me Bad」や「Love Of A Lifetime」のような楽曲が映えるわけです。

また、C.J.スネア(Vo)のクセの強いハイトーンボイス、ところどころで自己主張しまくりなビル・レヴァティー(G)のギタープレイも、個性の強さのわりに曲の邪魔をしていない。それどころか、曲の良さに拍車をかけているんだから、さすがとしか言いようがないわけです。本当、(WARRANTとは別の意味で)よくできたデビューアルバムだと思います。



▼FIREHOUSE『FIREHOUSE』
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投稿: 2017 03 16 12:00 午前 [1990年の作品, Firehouse] | 固定リンク

2017/03/15

WARRANT『DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH』(1989)

80年代のHR/HMブーム末期にLAから登場したのが、今回紹介するWARRANT。結成は1984年と比較的早いほうですが、メジャーデビューは1989年とそこから5年の歳月を要しています。

本国では1989年1月にリリースされた彼らのデビュー作『DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH』。そのアルバムタイトルと、“銭ゲバ”をそのまま具現化したかのようなイラストのジャケットから、WARRANTのことを知らない人は「きっと攻撃的なスラッシュメタルはハードコアでもやってるのかな」なんて想像するかもしれませんが、その中身は……グラムメタルとまでは言わないものの、適度なハードさが兼ね備わったポップなHRといったところでしょうか。

彼らのことを最初に知ったのは、たぶんMTVかTBS『PURE ROCK』で観たMV「Down Boys」だったと記憶しています。僕はてっきりPOISONの亜流みたいなものを想像していたら、音はもっとまともでまずそこに驚かされた。しかし、パフォーマンスがRATTやSCORPIONSがやってるようなフォーメーション(フロントメンバーがアクションを揃えるやつ)をもっと過剰にしたもので、そこに若干退いたんです。正直、アルバムを買ってまで聴こうとは思えなくて。

その後も「Big Talk」のMVをテレビで目にはしてましたが、そこまで心を動かされることもなく。パワーバラード「Heaven」が全米2位を記録する大ヒット曲になっても、「ああ、そう」くらいな感じでスルーしていたのでした。

で、1990年に上京後、2ndアルバム『CHERRY PIE』リリース時に「ちゃんと聴いてみようか」と思い、同作と一緒に1stも購入。こうしてようやくアルバムをフルで聴くことができたのでした。本国でのリリースから1年半以上経ってからのことです。

正直、バンドに対するイメージはそこまで大きくは変わりませんでした。よく作り込まれた楽曲群、適度にテクニカルでそつのない演奏、クセもそこまで強くなくて耳馴染みの良いボーカル……そう、非常に優等生すぎるんですよ、デビューアルバムのくせに。

確かにデビューアルバムってそれまでの活動の集大成的内容になるとは思うんです。でも、これはいろんな意味で過剰すぎないかと。下積みが長かったせいもあるのかもしれないし、ブーム末期にデビューしたことも大きく影響してるのかもしれないけど、ちょっとリスナー側に歩み寄りすぎなんじゃないかな。冷静に聴いて、そういう印象を持ちました。

しかし、本作リリースからすでに28年経過した2017年に聴いてみると……不思議と印象が変わらない。そう、当時からそうであったように、古くもないし新しくもない。こんな普遍性の強いアルバムだとは当時考えてもみなかったな。バンドは現在も活動していますが、ボーカルのジェイニー・レインは2011年に亡くなっています。この歌声を新作で再び耳にすることはできませんが、本作や『CHERRY PIE』などといった作品は世の評価ほど悪くないよということだけは声を大にして伝えておきたいと思います。



▼WARRANT『DIRTY ROTTEN FILTHY STINKING RICH』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 03 15 12:00 午前 [1989年の作品, Warrant] | 固定リンク

2017/03/14

ALICE COOPER『TRASH』(1989)

アリス・クーパーにとってキャリア18枚目のスタジオアルバムにあたるのが、1989年に発表された『TRASH』です。多少カルト的なイメージが強かった彼ですが、70年代はチャート的にも大成功を収めたアーティストのひとり。80年代前半は不遇の時代を過ごしますが、世の中がHR/HM万歳な時期に突入するにつれてアリス・クーパー再評価の声が挙がり始めます。また、彼のバンドに在籍したメンバーが結成したWINGERが大成功したことも、再び彼に注目が集まる大きなきっかけになったのではないでしょうか。

そんなタイミングに満を持して発表された『TRASH』。プロデューサーをBON JOVIなどのソングライターとして知られるデズモンド・チャイルドが務め、全10曲中9曲の楽曲制作にデズモンドが携わります。またその中にはジョーン・ジェットやジョン・ボン・ジョヴィ&リッチー・サンボラ(BON JOVI)といったデズモンド門下のアーティストの名も。レコーディングにもジョン&リッチーのBON JOVI組のほか、AEROSMITHからはスティーヴン・タイラー、ジョー・ペリー、トム・ハミルトン、ジョーイ・クレイマーの4人、キップ・ウィンガー(WINGER)、スティーヴ・ルカサー(TOTO)、ケイン・ロバーツ(80年代中盤のアリス・クーパー・バンドのギタリスト)といった錚々たる面々が参加した、豪華な1枚に仕上がっています。

アルバム自体は、“デズモンド・チャイルドが関わったアルバム”というイメージそのままの内容。おどろおどろしいアリス・クーパーのパブリックイメージとは相反する、美メロ満載のポップでキャッチーなハードロックアルバムです。1曲目の「Poison」や3曲目「House Of Fire」を聴いて、「BON JOVIかよ!」と当時ツッコミを入れたくなったHR/HMも少なくないはずです。しかし、これをジョン・ボン・ジョヴィが歌うのとアリス・クーパーが歌うのとでは、まったく違うものに仕上がるのだから本当に不思議。「Poison」の歌い出しなんて、アリス・クーパーがロウトーンで歌うことで、どこかおどろおどろしさが増すし。

とはいえ、どの曲もジョン・ボン・ジョヴィが歌う姿を簡単に想像できるし、脳内で勝手にボーカルをジョンに変換できる。5曲目のバラード「Only My Heart Talkin'」なんて、まんまAEROSMITHですしね(なんならこの曲、スティーヴン・タイラーがコーラスで参加してますし)。アリス・クーパーならではの個性という点においては、楽曲面にはそれほど強いものは感じられないかもしれません。

それでも1989年、このアルバムの成功によってアリス・クーパーはギリギリHR/HMブームに間に合った。時流に乗ることで、続く『HEY STOOPID』(1991年)や『THE LAST TEMPTATION』(1994年)でより好きなことがやれるようになったわけですから、結果良かったのではないかと。また、『TRASH』が売れてくれたから、1990年に念願の初来日公演も実現したわけですしね。

全米7位の大ヒット曲となった「Poison」をはじめ、「House Of Fire」「Bed Of Nails」などといったシングル曲以外にも良曲満載で、本当に捨て曲なし。最初に聴く1枚ではないかもしれませんが、あの時代の空気感に触れたいという人にはわかりやすい作品だと思います。



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投稿: 2017 03 14 12:00 午前 [1989年の作品, Alice Cooper] | 固定リンク

2017/03/13

KISS『MONSTER』(2012)

昨日KISSについていろいろ調べていたら、最新作『MONSTER』が2012年秋のリリースで、もう4年以上経ったという事実に驚かされました。とはいえこの4年ちょっとの間にKISSは二度も来日しているんですよね(2013年秋と2015年春)。2013年のときはチケットを持っていながら仕事の都合で行けなかったのですが、2015年の際には逆に仕事として東京ドーム公演に関わることができ、リハーサル含め彼らのプロフェッショナルぶりを間近で体験することができました。

さて、今のところ最新作となるこの『MONSTER』はKISSにとって20作目のオリジナルアルバム。この前の作品にあたる『SONIC BOOM』(2009年)はバンドにとって11年ぶりのオリジナルアルバムだったにもかかわらず、ここ日本ではリリースされることはありませんでした。そうった意味でも、この『MONSTER』に賭けるバンドやレーベルの意気込みは、当時相当なものがあったと記憶しています。

アルバム自体は、前作『SONIC BOOM』の延長線上にある作風で、ポール・スタンレー(Vo, G)とジーン・シモンズ(Vo, B)のリードボーカル曲が程よいバランスで混在し、その合間をトミー・セイヤー(Vo, G)ソロVo曲、エリック・シンガー(Vo, Dr)ソロVo曲、そしてポール&ジーンのツインボーカル曲が埋めるという完璧な構成。70年代のキャッチーでコンパクトな楽曲スタイルを軸にしながらも、70〜80年代のハードさ、90年代のサイケさなども適度にまぶされており、いわば“KISSの集大成”と呼べるような仕上がりです。

ポールが歌うアップテンポの「Hell Or Hallelujah」からスタートするのはちょっと意外でしたが、続くジーンVo曲「Wall Of Sound」はどこかビートルズ「Helter Skelter」を彷彿とさせるヘヴィな1曲。そこからポールVoの「Freak」、ジーンVoの「Back To The Stone Age」と、どことなく70年代のKISSを彷彿とさせる楽曲に続くのも興味深いところ。しかし、セルフパロディにならずに新しさもしっかり持ち合わせているのは、KISSの大ファンだったトミーが楽曲制作に加わっていることも大きいのかなと思います。5曲目「Shout Mercy」もメロ運びやギターリフが非常に初期のKISSっぽいし、6曲目「Long Way Down」は初期っぽさがありながら90年代のKISSが演奏しても不思議じゃない作風。ギターの歪み方が80〜90年代のファクトリーメイドな歪みとは異なる、ナチュラルな歪みだからこそ余計に初期のKISSを思い浮かべるのかもしれません。

ソウルフルなコーラスからスタートする「Eat Your Heart Out」、ダイナミックなアレンジが印象的な「The Devil Is Me」とジーンVo曲が2曲続いたあとは、いよいよトミー&エリックのVo曲が登場。トミーの歌う「Outta This World」は自分の役割をしっかり認識しているためか、エース・フレーリーが歌っても不思議じゃない軽やかなロックンロールを奏でています。またエリックが歌う「All For The Love Of Rock & Roll」もピーター・クリス時代を意識しているのか、ポールが書いた曲をエリックが歌うスタイルを取っています。どちらも2012年的とは言い難いかもしれませんが、KISSらしさという点においては100点満点。そこからAC/DC的な「Take Me Down Below」でポール&ジーンがツインボーカルを聴かせ、ポールが歌う王道KISSチューン「Last Chance」で派手に締めくくります。

全12曲で約44分。どの曲も3分前後で、どんなに長くても4分半止まり。しかもバラードなしで攻めまくるという構成。頭からお尻まで、どこを切り取ってもKISS以外の何者でもない本作は、KISSの最終到達点なのかもしれません。だからこそ、彼らが新作制作よりもライブに専念するのはある意味理にかなっているのかなと。これを超えること自体が難しいことだとは重々承知していますが、せめてもう1枚だけ、新作を聴いてみたいものです。



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投稿: 2017 03 13 12:00 午前 [2012年の作品, KISS] | 固定リンク

2017/03/12

KISS『CRAZY NIGHTS』(1987)

KISSが1987年秋に発表した通算14枚目のオリジナルアルバム『CRAZY NIGHTS』。『LICK IT UP』(1983年)で初めてメイクを落として人前に姿を現し、同作を携えたツアーも大成功。続く『ANIMALIZE』(1984年)、『ASYLUM』(1985年)も時代の流れを敏感に察知し、70年代のポップロック路線からタフでハード&ヘヴィな路線へとシフトチェンジを遂げます。が、世の中的には「KISSにそんなもの求めてねーよ」と言わんばかりに、じわじわとセールスを落とす結果に。そして1986〜87年に迎えた本格的なHR/HMブームに対してKISSが出した答えが、この『CRAZY NIGHTS』でした。

当時のメンバーはポール・スタンレー(Vo, G)、ジーン・シモンズ(Vo, B)のオリメンに二代目ドラマーのエリック・カー(Dr, Vo)、そして前作『ASYLUM』から参加のブルース・キューリック(G)という布陣。プロデューサーにはHEARTの復活作『HEART』(1985年)やオジー・オズボーン『THE ULTIMATE SIN』(1986年)、そしてSURVIVOR『VITAL SIGNS』(1984年)や『WHEN SECONDS COUNT』(1986年)などを手がけてきたロン・ネヴィソンを迎え、“1987年という時代を意識しつつも世間がKISSに求めるもの”を的確に形にした“KISS流産業ハードロック”と呼ぶにピッタリな1枚を完成させました。

シングルカットもされた「Crazy Crazy Nights」からスタートするこのアルバム。ライブでの大合唱を意識しつつも、しっかりラジオやMTVでオンエアされることも意識した、本当によくできた1曲です。残念ながらアメリカでは65位と大ヒットにはつながりませんでしたが、一方でイギリスでは4位という大成功を収めています。で、ここからハード路線の「I'll Fight Hell To Hold You」、キャッチーなスタジアムロック「Bang Bang You」とポールVo曲が3曲続きます。これもKISSにしては珍しいことですよね。

4曲目「No, No, No」でようやくジーンVo曲登場。ブルースのアグレッシヴなギタープレイを全面フィーチャーした、メタリックなファストチューンです。続く「Hell Or High Water」もジーンVo曲で、70年代の雰囲気にも通ずるものがありつつもしっかり現代的な側面も打ち出されたミドルナンバー。ポールが歌う6曲目「My Way」はシンセが前面に出た、これぞ“産業ハードロック”と言いたくなるキャッチーな1曲です。サビのメロディ進行や開け方は、ちょっとやそっとじゃ真似できない強みが感じられます。

7曲目「When Your Walls Come Down」は、ポールのハイトーンとジーン&エリックの掛け合いコーラスを効果的に用いたハードチューン。続く「Reason To Live」は本作唯一のバラードですが、通常のパワーバラードとはちょっと違った雰囲気を持っています。例えるならば……ロン・ネヴィソンだからというわけじゃないですが、HEARTの「What About Love」的な雰囲気と言いましょうか。KISSらしい楽曲とは言い難いですが、このアルバムの中では何の違和感もなく聴けてしまいます。

本作3曲目となるジーンVo曲「Good Girl Gone Bad」は、ロックンロールのマナーに添いつつもKISSらしいメロ運びをする独特な1曲。今作における絶妙なアクセントとなっています。10曲目「Turn On The Night」もシンセを前面に打ち出したポップチューンですが、“ラジオやMTV狙ってます”的ないやらしさも同じくらい強く感じられます。ダイアン・ウォーレンが楽曲制作に関わってることも関係あるんでしょうか。そしてラストはジーンVoのヘヴィな「Thief In The Night」で幕を下ろします。

全11曲中ジーンVo曲が4曲のみというのは前作『ASYLUM』、前々作『ANIMALIZE』と変わらないのですが、冒頭のポールVo曲3連発のインパクトが強いせいか、どうにも本作は「ポールがひとり気合い入れて頑張った作品」というイメージが拭えません。だからこそ、ジーンのマイペースぶりが発揮された4曲がいいアクセントになっているのも事実。リリースから30年経った2017年に聴くと若干古さを覚えるサウンドアレンジもありますが、楽曲の質自体は非常に高いものばかり。意外と最近のKISSにも通ずる要素もあるので、80年代の彼らに触れるならまずはこのアルバムから……というのもアリだと思います。



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投稿: 2017 03 12 12:00 午前 [1987年の作品, KISS] | 固定リンク

2017/03/11

MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987)

昨日のAC/DCの記事で触れ忘れましたが、1987年前後にAC/DCの名前を挙げ始めたのは何もRATTやGUNS N' ROSESだけではなく、MOTLEY CRUEもだったんですよね。確か1987年から始まった『GIRLS, GIRLS, GIRLS』ツアーではAC/DCの「Highway To Hell」をカバーしていた記憶も。思えばAEROSMITHが本格的再ブレイクする前に彼らのことを持ち上げたのも、RATTとMOTLEYでしたしね。

ということで、今日はMOTLEY CRUEが1987年初夏にリリースした通算4枚目のアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』を紹介したいと思います。アルバムごとにサウンドスタイルやヴィジュアルを一新し、常に流行の最先端を追い続けていた80年代のMOTLEY CRUE。前作『THEATRE OF PAIN』(1985年)ではグラムロックや70年代のAEROSMITH的ルックスに、ヘヴィメタルというよりはグラムHRというようなライト路線へとシフトチェンジし、大成功を収めましたが、今作『GIRLS, GIRLS, GIRLS』では世の中がグラムメタルで賑わう中、そのスタイルを捨ててマッチョ&ワイルドな路線へ。サウンドもより生々しさを伴うロックンロール色の強いHRサウンドへと進化させています。

『GIRLS, GIRLS, GIRLS』のアルバムジャケットでハーレー・ダビッドソンにまたがるヴィンス・ニール(Vo)とニッキー・シックス(B)。表題曲「Girls, Girls, Girls」のMVではヴィンスやニッキーのみならず、トミー・リー(Dr)やミック・マーズ(G)までもがハーレーを乗り回し、ストリップ小屋を散策します。まさに“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”の三種の神器がぴったりなスタイルを地でいくとはこのこと。もともと彼らにはその要素が見え隠れしていましたが(前作ではそれ以上に、パーティ感が強かった印象ですが)、ここまで開き直って直球を放たなくても……と思ってしまったのも事実です。

当時のツアーで披露した360度回転ドラムの場面をフィーチャーしたMVも印象的な「Wild Side」からスタートするこのアルバム。そのまま「Girls, Girls, Girls」へと流れていく頭2曲の構成は完璧です。どこかソウルフルな雰囲気もある3曲目「Dancing On Glass」は若干地味な印象がありますが、歌詞はニッキーのドラッグ体験を歌ったもので味わい深い(苦笑)ものがあります。タイトルからして直球な「Bad Boy Boogie」も女性コーラスが入ることで、前曲以上にソウルやゴスペルチックな色合いが。亡くなった祖母のことを歌ったショートバラード「Nona」は前作における「Home Sweet Home」とは異なるタイプ/立ち位置ながらも、本作において一瞬の安らぎを与えてくれます。

アナログB面は「Five Years Dead」「All In The Name Of…」と、シンプルなロックンロールからスタート。「Sumthin' For Nuthin'」も決して派手さはないけど、どこか引っかかりがある不思議な曲。この『GIRLS, GIRLS, GIRLS』というアルバムの収録曲は、シングルリリースされた冒頭2曲が持つ派手さと、この「Sumthin' For Nuthin'」みたいに“派手になりきれず、どこか地味”に二分されるんですよね。前者にばかり目を奪われて他の曲の良さに気づかないまま、「『GIRLS, GIRLS, GIRLS』って評判のわりに、あんまり良くないよね?」と切り捨ててしまうには本当に惜しい1枚。実はスルメ度という意味では、1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1982年)に匹敵するのではないかと思っています。

9曲目には、本作後半のハイライトとなるパワーバラード「You're All I Need」が登場。MOTLEY CRUEではトミー・リーがドラムとピアノを兼務するため、当時のツアーでこの曲は披露されていなかったと記憶しています(「Home Sweet Home」みたいにピアノパートとドラムパートが別個じゃなくて、同時に鳴っているしね)。また、歌詞も非常にダーク(恋人を永遠に自分のものにしたくて殺してしまうという内容)なため、3rdシングルとしてリカットされるも大ヒットにはつながりませんでした(全米83位。でも「Home Sweet Home」も89位だったし、同じようなもんか)。

そしてラストがエルヴィス・プレスリー「Jailhouse Rock」(邦題:監獄ロック)のライブカバー。これ、当時はてっきりライブ音源だと思ってましたが、擬似ライブテイクなんですよね? リリースされた頃はヴィンスの“リアル監獄入り”を記念して演奏されたとかいろんな話がありましたけど、前作における「Smokin' In The Boys Room」ほどじゃなかったかなと。まぁライブでは盛り上がるセレクトなので(だからこその擬似ライブアレンジなのかな)、これはこれでアリかと。

で、本作は2003年のリマスター&リイシューの際にボーナストラックが多数追加されています。「Nona」のでもインストバージョンのアレンジ、カッコいいじゃない。これはこれで仕上げられたバージョンを聴きたかったなぁ。あと個人的には、未発表のバラード「Rodeo」をなぜちゃんとブラッシュアップしてリリースしなかったのかと問いたい……まぁ、これも入れたら“Sex, Drug, Rock 'N' Roll”言うてるのにバラードばかりになっちゃうか。

ちなみに本作。当時としては過去最高の全米2位を記録。全米のみで現在までに400万枚以上のセールスを記録しています。ツアーではNasty Habitsと命名されたセクシーな女性コーラス隊を引き連れていたのも記憶に残っています。また『WHITESNAKE』リリース直後のWHITESNAKEや、『APPETITE FOR DESTRUCTION』でデビューしたばかりのGUNS N' ROSESをオープニングアクトに採用。全米ツアーは大成功を収め、19897年12月には初の日本武道館公演を含むジャパンツアーも大成功させました(自分が初めてMOTLEY CRUEを観たのもこのときでした)。が、帰国後の12月23日、ニッキーはヘロインのやりすぎで心肺停止状態に。のちに無事蘇生するものの、さらに “俺はある時期、ニッキー・シックスだった”という替え玉裁判まで持ち上がり、音楽面以外で再び世間を賑わせることになります(苦笑)。



▼MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS』
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投稿: 2017 03 11 12:00 午前 [1987年の作品, Motley Crue] | 固定リンク