2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000近いエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

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投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2017/02/28

2017年2月のお仕事

2017年2月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※2月24日更新)


[WEB] 2月24日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「3期生初公演『3人のプリンシパル』総括」が公開されました。

[WEB] 2月24日、「リアルサウンド」にてLiSAのアーティスト評「LiSA、「Catch the Moment」でみせた成長の跡 『SAO』コラボの歩みを辿る」が公開されました。

[紙] 2月23日発売「BRODY」2017年4月号にて、欅坂46ファーストワンマンライブドキュメント、今泉佑唯×鈴本美愉インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 2月22日発売「TV Bros.」2017年2月25日号にて、ドレスコーズ『平凡』大枠レビューを執筆しました。

[紙] 2月18日発売「ヘドバン Vol.13」にて、SYSTEM OF A DOWN特集内「SYSTEM OF A DOWNの基礎知識」「全アルバム解説」「フジロック回想ライブレポート」、PANTERA『俗悪』25周年記念「俺と『俗悪』」を執筆しました。(Amazon

[WEB] 2月13日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「今後期待の国内ガールズバンド5選」が公開されました。

[WEB] 2月12日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月12日(日)昼公演日報2月12日(日)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月11日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月11日(土)昼公演日報2月11日(土)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月10日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月10日(金)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月9日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月9日(木)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月8日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月8日(水)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月8日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「2017年注目の国内ラウドロックバンド5選」が公開されました。

[WEB] 2月8日、「楽天ブックス」での連載「乃木坂46公認コラム『のぼり坂』」にて「3期生初公演『3人のプリンシパル』を前に、過去の『16人のプリンシパル』を振り返る」が公開されました。

[WEB] 2月7日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月7日(火)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月7日、「ドワンゴジェイピーnews」にてニコ生『生のアイドルが好き』レポート「乃木坂46「生ドル」で松村沙友理が白石麻衣をツインテールに」、乃木坂46松村沙友理&中田花奈インタビュー「乃木坂46「生ドル」5年目突入に「放送事故感をだんだんと楽しめるようになってきた」」が公開されました。

[WEB] 2月6日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月6日(月)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月5日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月5日(日)昼公演日報2月5日(日)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月4日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月4日(土)昼公演日報2月4日(土)夜公演日報が公開されました。

[WEB] 2月3日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』2月3日(金)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月2日、乃木坂46オフィシャルサイトにて3期生初公演『3人のプリンシパル』¥2月2日(木)公演日報が公開されました。

[WEB] 2月1日、「激ロッック」にて10-FEEインタビューおよびニューシングル『ヒトリセカイ×ヒトリズム』ディスクレビューが公開されました。

投稿: 2017 02 28 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

BACKYARD BABIES『FOUR BY FOUR』(2015)

活動停止から5年ぶり、オリジナルアルバムとしては前作『BACKYARD BABIES』(2008年)から実に7年ぶりのニューアルバム『FOUR BY FOUR』。メンバーはニッケ・ボルグ(Vo, G)、ドレゲン(G, Vo)、ヨハン・ブロムクウィスト(B)、ペダー・カールソン(Dr)という不動の4人のままで、前作からの空白を一切感じさせないBYB流ロックンロール満載のアルバムに仕上げられています。

これだけ長い期間バンドとして活動していないと、再始動した際バンドとしての感覚を取り戻すためにまずツアーをしたりするケースが多いですが、彼らの場合はいきなりこのアルバムの制作に突入。通常はここでぎこちなさが表出してしまったり気合いのみが空回りしてしまったりするものの、BYBに関しては本当に“しっくり”きたんでしょうか、先に書いたように7年の空白が嘘のような通常営業っぷりなんですよね。

とはいえ、7年前からまったく成長していないのかというとそうではなく、ニッケやドレゲンのソロ活動での成果もしっかり反映されている。スクラッチなどの遊びが入ったオープニングトラック「Th1rt3en Or Nothing」なんて、従来のBYBらしさと今までになかったカラーが絶妙なバランスでミックスされているし、大陸的なバラード「Bloody Tears」あたりは完全にニッケのカラーが反映されたもの(同曲のMVは来日時に東京で撮影されたもの。必見)。かと思えば、7分にもおよぶブルージーかつダークな「Walls」のような新境地ナンバーもある。バンドとしてしっかり成長し、前進していることはこれらの楽曲からも伺えるんじゃないでしょうか。

もちろん、それ以外の楽曲は従来のBYBらしさに満ち溢れたものばかり。「I'm On My Way To Save Your Rock 'n' Roll」の前のめり感、適度な哀愁味を携えた「White Light District」、USパンクからの影響も強い「Never Finish Anythi」といったナンバーのみならず、その他の楽曲も“これぞBYB”と呼べるものばかりです。古くからのファンはもちろんのこと、「BYBってどんなバンド?」と初めて接する人にも優しい内容と言えるでしょう。

ただ、ひとつだけ苦言を呈するならば……7年待たされて、たった9曲で34分という短さはなんなの!?と。古き良き時代のロックンロールアルバムならばこれが正解なんだろうけど、時は2015年。正直物足りなさを感じてしまったのも事実です。まぁやたらめったらと曲数多くて60分超えてたり、ライブで演奏しない曲ばかりの内容になるよりはマシなのかな。彼らなりに「こんな時代だからこそ……」というアンチ精神もあってこの構成だとしたら、それは素直に受け入れることにします。だって、無駄が一切ないんだから。

個人的に残念だったのは、仕事の関係で2015年秋の『LOUD PARK 15』に足を運べなかったこと。さらにその時期、耳の病気を患ってライブにもあまり足を運ぶことができず、無理して地方でのワンマン公演にも行けなかった……本当に悔しい限りです。しかしながら、『FOUR BY FOUR』を携えて行われたツアーから、2016年2月のストックホルム公演を完全収録したライブDVD&Blu-ray『LIVE AT CIRKUS』が3月3日にリリースされるので、こちらの到着を楽しみに待ちたいと思います。



▼BACKYARD BABIES『FOUR BY FOUR』
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投稿: 2017 02 28 12:00 午前 [2015年の作品, Backyard Babies] | 固定リンク

2017/02/27

KREATOR『GODS OF VIOLENCE』(2017)

ドイツの大御所スラッシュメタルバンドKREATORの約5年ぶり、通算14枚目のスタジオアルバム。今年で35周年という、アメリカのMETALLICA、SLAYTERあたりと並ぶ活動歴を持つ彼らですが、サウンド的にはスラッシュ一辺倒ではなく、時代の流行りに乗った時期もありました(ゴシック/インダストリアル調のミドルナンバーが中心だった1992年の6thアルバム『RENEWAL』、1997年の8thアルバム『OUTCAST』あたりが顕著)。しかし2001年に現在の編成で制作された10thアルバム『VIOLENT REVOLUTION』を機に、再びスラッシュサウンドへと回帰。以降は常に評価の高い作品を送り続けています。

ミレ・ペトロッツァ(Vo, G)とユルゲン“ヴェンター”レイル(Dr)の創設メンバー2名にサミ・ウリ・シルニヨ(G)、クリスチャン・ギースラー(B)という、おそらく現時点で最強の布陣で制作された最新作『GODS OF VIOLENCE』は、21世紀に入ってからもっとも長いインターバルで発表されたアルバム。なにせこの約5年の間に彼ら、二度も来日してますからね(2014年の『LOUD PARK 14』、2016年の『THRASH DOMINATION 16』)。そもそも2014年の時点で実に9年ぶりの来日公演だったわけで、いかに前作『PHANTOM ANTICHRIST』(2012年)とそれに伴う活動が充実していたかってことですよね。

そんないい流れで制作された『GODS OF VIOLENCE』は、現編成での集大成というだけでなく、ゴシックロックへと傾倒した時期までもを含む、全キャリアを総括したかのような内容。単なるスラッシュ一辺倒で終わっておらず、パワーメタル的な色合いもあれば、メロディにはどこかゴシックロックを思わせるテイストもあり(アートワークの観点では、ブックレット内の写真は完全にゴスの流れにあるものでしたが)、さらにはケルト民謡やTHIN LIZZYあたりにも通ずるアイリッシュ民謡などの要素も散りばめられています。特にサミによるギターソロは非常にメロディアスで、単なるスラッシュメタルでは終わらないオリジナリティが感じられます。

もはや初期の『PLEASURE TO KILL』(1986年)や『EXTREME AGGRESSION』(1989年)の頃とは別モノと考えるのが正しいのかもしれませんが、これも間違いなくKREATOR。スタートから35年を経て進化した形が、この『GODS OF VIOLENCE』なのです。そういう意味では彼ら、(そのサウンドや辿った道は若干異なるものの)意外とANTHRAXに近いのかもしれませんね。

ちなみに本作、本国ドイツで初のチャート1位を獲得。オーストリアでも4位、フィンランドで7位、スイスで13位、スウェーデンで19位、さらにアメリカでも118位と、それぞれ過去最高位を記録しています。もちろんチャートの数字がすべてではありませんが、この内容のすごさや充実度を示す意味でも多少は参考にできる結果ではないでしょうか。

なお、本作の限定盤には2014年の『WACKEN OPEN AIR 2014』でのライブ映像が収められたDVD付き(日本盤のみBlu-ray仕様も用意)。さらに日本盤のみスペシャル盤として、その『WACKEN OPEN AIR 2014』のライブCDが追加された3枚組仕様も発売されています。この『WACKEN OPEN AIR 2014』、10thアルバム『VIOLENT REVOLUTION』以降の楽曲が全14曲中10曲と2001年以降のベスト盤的内容(『PHANTOM ANTICHRIST』リリース後なので、同作からの楽曲が半数を占めますが)。そこに超初期の「Endless Pain」「Pleasure To Kill」「Tormentor」といった激スラッシュ、中期の「Phobia」が違和感なく並ぶというのも興味深いところ。結局そういうことなんですよね。



▼KREATOR『GODS OF VIOLENCE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+BD / 国内盤2CD+BD / 国内盤2CD+DVD / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD

投稿: 2017 02 27 12:00 午前 [2017年の作品, Kreator] | 固定リンク

2017/02/26

WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』(2015)

2008年に『GOOD TO BE BAD』、2011年に『FOREVERMORE』というオリジナルアルバムを発表し、それぞれ英米で(80年代には及ばないものの)まずまずの成績を残してきたWHITESNAKE。4年ぶりの新作として発表されたのが、デヴィッド・カヴァーデイル(Vo)がDEEP PURPLE在籍時に制作した3枚のアルバム、『BURN』(1974年)、『STORMBRINGER』(1974年)、『COME TASTE THE BAND』(1975年)からセレクトされた楽曲をセルフカバーした通算12枚目のスタジオアルバム『THE PURPLE ALBUM』です。

思えばWHITESNAKEは90年代にも「Soldier Of Fortune」(『STORMBRINGER』収録)をカバーしていましたし、もっとさかのぼれば70年代に「Mistreated」(『BURN』収録)もピックアップしていましたしね。ただ、前者に関しては非常にレアな機会に歌われていただけだし、後者は持ち曲が少ない時期にライブで披露していたという理由があったわけで、そこに変な意味合いはなかったはず。ところが、2000年代に入ってからの再結成では「Burn」からライブを始めたり、その「Burn」と「Stormbringer」をメドレー形式で演奏したりと急にパープル曲が増え始めた。当時はラッキーと思いつつ、「なぜ今パープルよ?」という複雑な心境になったものでした。

そんなですから、このアルバムを制作すると決まったときは、やはりモヤモヤした気持ちに。最近ライブでカヴァーデイルが声出なくなってきてるからチューニング下げまくりなところに、一番若々しかった時代の曲をセルフカバーって……はい、不安しかありませんでした。しかも、本作制作前には2000年代のWHITESNAKEにとって重要な存在だったダグ・アルドリッジ(G)が脱退。替わりに加入したのがNIGHT RANGERのジョエル・ホークストラだっていうんだから……ジョエルにブルースのブの字も感じたいことないし、どちらかというともう1人のギタリスト、レブ・ビーチと同系統だと思っていたので、不安以外のなにものでもありませんでしたよ。

いざ完成した『THE PURPLE ALBUM』は、予想通りチューニング下げまくり。ただ、「Stormbringer」や「Love Child」「The Gypsy」みたいなヘヴィで引きずるようなミドルチューンにはローチューニングは合ってるかな。とはいえ、「Burn」はやっぱり原曲のキーあってこそだという思いが強いし、「Sail Away」のアレンジも凡庸。名曲中の名曲「Soldier Of Fortune」もわざわざチューニング下げなくても歌えたんじゃないかと思うんですが……原曲への思いが強いだけに、ちょっと残念でなりません。

曲によっては新たな解釈が加えられており、“あくまでWHITESNAKEのアルバムですよ”との主張が感じられる。もちろんそれは正しいんだけど、だったらそのテイストの新曲を作れなかったのかなと。オリジナル曲半分、お遊びで新解釈のカバー半分みたいな作品作りもできたはずなのに、ただ曲数が多くて長いアルバムで終わっちゃってる気がします。そして、やっぱりデヴィッドの衰えだけが目立ってしまうという……だからこそ新曲で勝負してほしかったな。

かなりネガティブなことばかり書いてしまいましたが、すべてがすべて悪いというわけではないですよ。上に挙げたようなミドルヘヴィナンバーは原曲に匹敵するカッコよさが感じられたし、なにより個人的には久しぶりに聴いた『COME TASTE THE BAND』からの楽曲がこんなに良かったっけ?という新たな発見もありましたし。このアルバム、20代前半に聴いたっきりだったので、これを機に改めて聴き直そうと思ったくらいですから。そこに気づかせてくれたという点においては、僕にとっても意味のあるアルバムだったのかもしれません。聴く頻度は非常に低いですけどね(苦笑)。

最後に。本作は2012年に亡くなったDEEP PURPLE、WHITESNAKEのキーボーディスト、ジョン・ロードに捧げられた作品とのこと。本当にそうだとしたら、なおさらオリジナル曲を届けてほしかったな……シンガーとしての寿命も(普通に考えたら)この先決して長くはないだけに……という、好きすぎるからこその苦言でした。



▼WHITESNAKE『THE PURPLE ALBUM』
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投稿: 2017 02 26 12:00 午前 [2015年の作品, Deep Purple, Whitesnake] | 固定リンク

2017/02/25

GRAHAM BONNET BAND『THE BOOK』(2016)

RAINBOWやMICHAEL SCHENKER GROUP、ALCATRAZZ、IMPELLITTERIといったバンドを渡り歩いてきた孤高のシンガー、グラハム・ボネット。彼が近年結成したGRAHAM BONNET BANDの新作として、2016年秋にリリースされたのが本作『THE BOOK』です。

今作は2枚組仕様で、ディスク1にはコンラド・ペシナート(G)、ベス・エイミー・へヴンストーン(B)、マーク・ゾンダー(Dr)、そしてALCATRAZZ時代の盟友ジミー・ワルドー(Key)という現時点での最強布陣で制作されたオリジナル曲11曲を収録。オープニングトラック「Into The Night」での「そうそう、これこれ! こんなグラハム・ボネットが聴きたかった!」と膝を叩きなるような様式美HR/HMに筆頭される、グラハムがこれまで携わってきたバンドのカラーが至るところに散りばめられた、聴き応えのある1枚に仕上がっています。

グラハムのボーカルからは衰えはそれほど感じられず、これが昨年12月に69歳になったばかりのジジイの歌声かよ!?とただ驚くばかり。そしてコンラド・ペシナートのギタープレイも適度にクラシカルで適度にテクニカル、何よりも耳に残るフレーズをたくさん用意してくれるので、親しみやすいプレイヤーではないかと思います。

いやぁ、それにしてもここまで好き放題やっておいて、単なるセルフパロディで終わってないのはさすがだと思います。どれも聴いたことがあるような錯覚に陥るほどに“グラハムらしさ”に満ち溢れている、だけど正真正銘の新曲なんだから。確かに2016年に新たに生み出すような音楽ではないのかもしれないし、80年代からまったく進化していないと言ったらその通りだとも思う。けれど、こういう音楽をここまでストレートに表現できる稀有な存在だけに、彼には無駄にモダンなことに手を出さず、このまま可能な限り自己流のHR/HMを表現していってほしいです。だって「Into The Night」や「Dead Man Walking」みたいな疾走メタルチューンを絶唱できる、70代に手が届くシンガーなんてそうはいないんだからさ。

そしてディスク2。これがある意味問題作であり、人によってはメインディスクになるのかな(苦笑)。こちらはグラハムが過去に携わってきたバンドやソロ時代のヒット曲をGRAHAM BONNET BANDでセルフカバーしたもの。RAINBOW「Eyes Of The World」から始まり「All Night Long」などの代表曲、そしてソロシングル「Night Games」、MSGからは「Assault Attack」「Dancer」など、ALCATRAZZは「Island In The Sun」「God Blessed Video」など1st〜3rdアルバムから、IMPELLITTERIは「Stand In Line」がピックアップされています。

どの曲も基本的なアレンジはそのまま、ボーカルも変に歌メロを崩すことなく、スタジオテイクでの歌唱を軸に歌っています。肝心の演奏もオリジナルに忠実なパートが多く、特にギターのコンラド・ペシナートはリッチー・ブラックモアからマイケル・シェンカー、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ、クリス・インペリテリと、どいつもこいつもクセが強いギタリストなのにしっかり再現&自身の個性を表出させているんだから、さすがとしか言いようがありません。

グラハムのファンや彼が在籍した上記のバンドのファンはもちろんのこと、RAINBOWからの流れにある様式美HR/HMにこれから触れてみようという人にも入門編としてオススメしたい作品集。ディスク2のみならずディスク1もしっかり楽しめたら、あなたも今日から立派なメタラーです。そして、せっかくなので3月に控えたGRAHAM BONNET BAND&ALCATRAZZの来日公演にも足を運んでみてはどうでしょう。



▼GRAHAM BONNET BAND『THE BOOK』
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投稿: 2017 02 25 12:00 午前 [2016年の作品, Alcatrazz, Graham Bonnet, Impellitteri, Michael Schenker, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/24

THUNDER『RIP IT UP』(2017)

THUNDERは本当に勤勉なバンドだ。20年前と比べたらアルバムのリリースサイクルなんて3年くらいが当たり前となった昨今、ちゃんと2年に1枚のペースで新作を届けてくれるんだから。

というわけで、2015年2月に発表された通算10枚目のオリジナルアルバム『WONDER DAYS』が久々のヒット作となったTHUNDERが、ちょうど2年ぶりにリリースしたのが本作『RIP IT UP』。2年ぶりとは言いながらも、実は昨年3月には2枚組ライブCD+ライブ映像からなる大作『ALL YOU CAN EAT』も発表しているので、実質1年ぶりの感覚なんですよね。何なんでしょうね、この真面目さは。古き良き(もしくは悪しき?苦笑)イギリス人なんでしょうね、彼らは。

前作制作時はベン・マシューズ(G, Key)が病気療養中でレコーディングに参加できかったため、キーボード類はルーク・モーリー(G)がすべて担当していたようですが、今作では晴れてベンも復帰し、ルーク、ダニー・ボウズ(Vo)、ゲイリー・ジェイムズ(Dr)、クリス・チャイルズ(B)という、『THE THRILL OF IT ALL』(1997年)を携えたツアーから不動のメンバーが揃ったわけです(もちろん、前作完成後のツアーにはベンも参加済みですが)。

今作『RIP IT UP』、基本ラインは『WONDER DAYS』から……いや、従来のTHUNDERのスタイルからこれっぽっちもズレていません。しかし、『WONDER DAYS』に感じられた攻めの姿勢やみずみずしさは若干後退し、より貫禄と渋みが増した印象があります。では地味な作品なのかというと、そんなこともない。オープニングを飾る「No One Gets Out Alive」にしろバラードナンバー「Right From The Start」にしろ、メロディはとてもキャッチーで親しみやすい。だけど、全体を覆う空気感はよりアダルトなものになったイメージが強いんです。

とはいえ、グラムロック時代のデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる「Rip It Up」、独特のグルーヴ感を持つミドルチューン「Heartbreak Hurricane」、地を這うようなベースラインとシャッフル気味のリズムが気持ち良い「In Another Life」、力強いビートとTHUNDERらしいギターリフのコンビネーションがクールな「The Enemy Inside」のように印象的な楽曲も多く、簡単に「枯れた」とか「AOR調になった」という言葉では片づけられない魅力もたっぷり詰め込まれています。

確かに『WONDER DAYS』のような即効性は弱めかもしれない。だけど、聴けば聴き込んだだけ味わいが増す。思えば中期以降のTHUNDERのアルバムってそういう作品が多くなかったでしたっけ。そういう意味では、本作ではいろんな経験を得た彼らが『WONDER DAYS』という何度目かのデビュー作を経てたどり着いた、等身大の1枚なのかもしれません。

人によってはそれを退屈と呼ぶかもしれない。しかし、退屈な曲なんてこれっぽっちもない。聴けば聴くほどボディブローのように効いてくる、そんな“地味にスゴイ”アルバムだと思います。

なお、本作もボーナスディスクを追加した特殊仕様を多数用意。海外盤と共通なのは、昨年行われた数百人規模でのレアライブを収めた2枚組アルバム『LIVE AT THE 100 CLUB』が付属した3枚組仕様が用意されていること。ここに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲入りEP『BROKEN MIRROR』付き4枚組(!)仕様も存在。とりあえず『LIVE AT THE 100 CLUB』は必聴盤ですので、悪いことはいいません、ちょっとでも興味があるなら3枚組仕様もしくは4枚組仕様の購入をオススメします。

※追記
最新のUKアルバムチャートにて、『RIP IT UP』が初登場3位にランクイン。前作『WONDER DAYS』を超えたのはもちろんのこと、1992年の2ndアルバム『LAUGHIN' ON JUDGEMENT DAY』の2位に次ぐ快挙を成し遂げました。



▼THUNDER『RIP IT UP』
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投稿: 2017 02 24 12:00 午前 [2017年の作品, Thunder] | 固定リンク

2017/02/23

THUNDER『WONDER DAYS』(2015)

2000年の解散以降、何度か再結成〜解散を繰り返していたイギリスの至宝THUNDER。近年では2009年に再解散したものの、2011年には早くも一度限りの(そして何度目かの)再結成。そのまま2013年には『DOWNLOAD FESTIVAL』をはじめとするフェスに出演し、同年秋には来日公演を実施。さらに2014年秋には『LOUD PARK 14』出演のため再来日も果たしました。そこで彼らは新曲をいち早く披露。このうちの1曲が、翌2015年2月にリリースされた、実に6年ぶりのニューアルバム『WONDER DAYS』のタイトルトラックだったのでした。

スタジオアルバムとしては通算10枚目となる本作は、往年の輝きを再び取り戻したかのようなみずみずしさと、長きにわたり活動してきた大御所ならではの貫禄が絶妙なバランスでミックスされた、再結成後の作品としてはベストと呼べる内容。アルバムのオープニングを飾るタイトルトラック「Wonder Days」は、適度な泣きメロとパワフルな演奏&アレンジは初期3作にも匹敵するものがあります。そこからストーンズライクな「The Thing I Want」へと自然と流れていき、トラディショナルなアコースティックナンバー「The Rain」、スウィング感が心地よい「Black Water」、緊張感みなぎる疾走チューン「The Prophet」と続き、従来のカラーとこれまでには感じられなかった質感が見事に織り交ぜられています。

後半も“これぞTHUNDER”な楽曲が続きます。適度な軽やかさと大きなノリがアダルトな雰囲気を醸し出す「Resurrection Day」、リフでグイグイ引っ張るミドルヘヴィナンバー「Chasing Shadows」、ダニー・ボウズ(Vo)の渋みが増したボーカルが存分に味わえるピアノバラード「Broken」、リフやメロディなど何から何までがTHUNDERでしかない名曲「When The Music Played」、ブルーステイスト濃厚なブギー「Serpentine」、LED ZEPPELINでいうところの「Rock And Roll」的な“何も考えずに踊れるロックンロール”「I Love The Weekend」……ホント、捨て曲一切なし。すごいアルバムだと思います。

確かに初期3作と比べたら、あそこまでの派手さはありません。しかし、少なくとも『THE THRILL OF IT ALL』(1996年)や『GIVING THE GAME AWAY』(1999年)に続く作品でも違和感がないほどの勢いや気概は過去数作以上だし、それでいて結成から30年近く経ったベテランだからこその貫禄と説得力も持ち合わせている。何度かの解散を経て、改めてこのタイミングにバンドとしての原点に立ち返ったのか、それとも「もういろいろやってきたんだから、好きなことだけやろう」と開き直ったのか。理由はなんにせよ、とにかく今このタイミングだからこそ完成させることができた傑作であることには違いありません。それもあってか、このアルバムは『BEHIND CLOSED DOOR』(1995年)以来20年ぶりに全英チャートでトップ10入り(9位)を達成しています。2000年代の再結成後に発表したどのアルバムも50〜70位台だったことを考えれば、いかにすごい結果かがご理解いただけると思います。

なお、本作は『WACKEN OPEN AIR 2013』のライブ音源を収めたボーナスディスク付き仕様も用意。さらに日本盤のみ、アルバム未収録の新曲4曲を収めたEP『KILLER』も付いた3枚組仕様が存在するので、THUNDERにちょっとでも興味があるという人は迷わずこちらをゲットしていただけるとよろしいのではないでしょうか。

いやぁ、それにしても本当にすごいアルバムだ。2000年に解散をしたときは、まさか15年後にまたこんなすごいアルバムを聴くことができるようになるとは思ってもみなかったよ。



▼THUNDER『WONDER DAYS』
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投稿: 2017 02 23 12:00 午前 [2015年の作品, Thunder] | 固定リンク

2017/02/22

OZZY OSBOURNE『SCREAM』(2010)

2017年2月現在、オジー・オズボーンの最新オリジナルアルバムが本作『SCREAM』。2010年6月にリリースされ、全米4位を記録しました。前作『BLACK RAIN』(2007年)ではザック・ワイルドがギターおよびソングライティングで参加していましたが、本作からFIREWINDのガスG.が正式加入。ソングライティング面での貢献度はゼロですが、レコーディングではザックとはひと味違ったヘヴィ&ワイルドさをアピールしています。

プロデューサーは前作『BLACK RAIN』も手掛けたケヴィン・チャーコ。彼はPAPA ROACHやROB ZOMBIE、FIVE FINGER DEATH PUNCH、IN THIS MOMENT、DISTURBEDなどのプロデュースやソングライティングで知られる人で、そのラインナップからもわかるようにとてもモダンな作風を信条とする方です。事実、オジーの前作『BLACK RAIN』はそのひとつ前のオリジナルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)とも異なる、モダンなヘヴィロックが軸になっていました。どこかBLACK SABBATHを思わせるような楽曲が“まんまサバス”にならなかったのは、彼の手腕によるところが大きかったと思います。

そのケヴィンは『BLACK RAIN』同様、今作『SCREAM』でもメインソングライターとして制作に参加。ほぼすべての楽曲をオジーとのコンビで書き上げ、残りの数曲はオジー&ケヴィンとアダム・ウェイクマン(YESのリック・ウェイクマンの息子)のトリオで制作しています。ザックのカラーがなくなったことで、モダンな中にもそこはかとなく感じられたアーシーさは今作では減退。「Life Won't Wait」には若干ザック在籍時の匂いが残っている気がしますが、ザックのアーシーサよりもオルタナ感のほうが優っているかなと。

「Let Me Hear You Scream」みたいにドライヴ感の強い楽曲もあるにはあるけど、アルバムの軸になるのはミドルテンポで重苦しいサウンドを持つナンバー。オープニングの「Let It Die」はまさにその象徴といえる1曲だし、不穏なイントロとギター&ドラムのユニゾンリフが気持ちいい「Diggin' Me Down」などは“2000年代のオジー”だからこそできる楽曲かなと。かたやBLACK SABBATHでは王道感の強いHR/HMに挑み、かたやソロでは同時代性を大切にしたヘヴィメタルにチャレンジする。これが(リリース当時)60歳を超えたジジイのやることかよと。ただただ脱帽です。

そして、こういうモダンなサウンド&楽曲だからこそ、ガスG.のギターワークが活きるというのも納得。ザックが弾いていたら、もっといなたくなっていたんでしょうね(まぁそもそもザックが弾く時点でソングライティングにも携わるだろうから、こんな作風にはならないでしょうけど)。このアルバムから早7年。BLACK SABBATHの活動終了を経て、オジーはスティーヴ・スティーヴンスなどとソロアルバムの準備をしていると聞きます。それがソングライティングのみなのか、はたまたレコーディングにも参加するのか。そしてガスG.の処遇はいかに。なんにせよ、早く“2017年のオジー・オズボーン”が聴きたいし、生で観たいものです。



▼OZZY OSBOURNE『SCREAM』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 22 12:00 午前 [2010年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/02/21

FIREWIND『IMMORTALS』(2017)

2009年からオジー・オズボーンの片腕としてツアーやアルバム『SCREAM』(2010年)に参加しているガスG.。彼のメインバンドとなるのがこのFIREWINDであることは以前から知っていましたし、『SCREAM』を聴く前はいわゆる“クサメタル”系ギタリストがオジーと組むことに違和感を覚えたのですが、いざ完成したアルバムはそれまでの流れを汲む、非常にオジーらしいモダンな内容でした。

そういうこともあって、一度このFIREWINDも聴いてみなくちゃと思っていたものの、なかなか手が伸びず。気づけば2017年を迎えていたわけですが、このたび無事タイミングが合い(笑)、FIREWINDの通算8枚目のオリジナルアルバム『IMMORTALS』を聴くことができました。

オリジナル作品としては2012年の『FEW AGAINST MANY』から5年ぶりの新作となりますが、今作ではボーカルが新加入のヘニング・バッセに変更。初めて聴くので、あえて過去と比較することなく楽しめるかなと思ったのですが……今回の新作って、コンセプトアルバムだったんですね。買ってから気づきました(笑)。

まぁ変な先入観を捨てて、いざアルバムを聴いたわけですが……オープニングの「Hands Of Time」の“王道クラシカル”感にいきなり当てられ早くもおなかいっぱいに(苦笑)。3曲目「Ode To Leonidas」のオープニングのセリフとか、4曲目「Back On The Throne」の仰々しいシンセイントロにハードルの高さを少しだけ感じましたが、いざ曲が始まると普通にカッコいい。あれ、意外とイケるじゃん、自分。

正直、僕はネオクラシカルやクサメタルに苦手意識があったのですが、このアルバムに関しては思っていた以上にスルスル楽しめた。その一番の要因は、ボーカルとギターにかるのかなと思いました。この手のバンドにありがちな、線の細いハイトーンボイスではなく、適度にドスの効いた太い声はスラッシュ以降や昨今のラウドの流れを楽しむ自分にも親しみやすいし、なによりガスG.のギターが非常に面白い。クラシカルなプレイもあれば、オジーのアルバムで聴けたヘヴィなプレイもある。どうやら2015年に発表さいたソロアルバム『BRAND NEW REVOLUTION』はオジー寄りのヘヴィロック的作風だったようですが、両要素を巧みに使い分け、かつ適度に融合させることができるあたりに、本作の勝因があるのではないかと思っています。2分に満たない攻めのインストナンバー「Immortals」を聴けば、その考えはより強まるばかりです。

もちろんクサメタルファンにとっては最高の1枚でしょうが、普段ラウドロックばかりを聴いてるような自分にも十分楽しめるアルバムなのは間違いなし。この手のサウンドもたまに聴くと、本当に新鮮ですね。



▼FIREWIND『IMMORTALS』
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投稿: 2017 02 21 12:00 午前 [2017年の作品, Firewind] | 固定リンク

2017/02/20

DEATH ANGEL『THE EVIL DIVIDE』(2016)

2016年5月にリリースされた約3年ぶり、通算8枚目のオリジナルアルバム。メンバーはマーク・オセグエダ(Vo)、ロブ・キャヴェスタニィ(G)という初期からの2人に、2000年代の再結成時から加わったテッド・アギュラー(G)、2009年に加入したデミアン・シッソン(B)&ウィル・キャロル(Dr)の計5人。この布陣ですでに3作目ということもあり、バンドとしてもかなり固まってきたタイミングでの新作かと思われます。

80〜90年代のアルバム3作はもちろん聴いてきたし、再結成後も4th『THE ART OF DYING』(2004年)、5th『KILLING SEASON』(2008年)は聴いていたんだけど、その後の2枚は完全にスルー。しかし、ここ最近の旧スラッシュ勢の盛り上がりを見て、このタイミングで最新作に手を出してみました。

ぶっちゃけこれ、最高じゃないですか? ファンの方々からしたら「何を今さら……」と思われることでしょう。いや、本当に申し訳ないです、なんでリリースタイミングに購入しなかったんだろうと後悔しているところです。

アルバムのオープニングにふさわしいキャッチーさと疾走感を兼ね備えたスラッシュナンバー「The Moth」を筆頭に、前曲のノリを引き継ぐ「Cause For Alarm」、エモみが強い「Lost」、曲中盤のインストパートのアレンジがエモーショナル&スリリングな「Father Of Lies」、再び狂ったように突き進む「Hell To Pay」と完璧な流れ。

後半も怪しげなリズム隊のアンサンブルから始まるミドルテンポの「It Can't Be This」、リフとドラムのユニゾン&ドライブ感が心地よい「Hatred United / United Hate」、首がもげるまでヘドバンしまくりたい「Breakaway」「The Electric Cell」(2曲とも歌に入るまでの構成が本当にカッコいい)、タイトなリズム感とメロウなサビが絶妙な「Let The Pieces Fall」と全10曲、約45分すんなり聴けてしまいます。

ちょっと前に取り上げたTESTAMENTの新作もそうでしたが、このアルバムでも大半の楽曲が4分台。最長でもラストナンバー「Let The Pieces Fall」の5:48なのですが、どの曲もぎっしり身が詰まったようなアレンジが施されていて、改めて「スラッシュは長けりゃいいってもんじゃない」と考えさせられます。変にバラード調になることもなく、無駄な展開は皆無。なのにどの曲もこれでもかというほどにいろんな要素が詰め込まれている。ベテランたちが何周もして、今ここに到達するという面白現象が2016年に起きているのは非常に興味深いと思います。

日本盤のみボーナストラックとしてTHE MISSIONのカバー「Wasteland」が追加されていますが、正直これナシで潔く終わる輸入盤のほうがベスト。直近2作を聴いてない僕ですが、本作は今まで聴いたDEATH ANGELのアルバムの中でベストと断言したいです。これ、生で聴いたら最高だろうなぁ……。



▼DEATH ANGEL『THE EVIL DIVIDE』
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投稿: 2017 02 20 12:00 午前 [2016年の作品, Death Angel] | 固定リンク

2017/02/19

W.A.S.P.『THE CRIMSON IDOL』(1992)

先日、W.A.S.P.の名盤『THE CRIMSON IDOL』が今年で発売25周年を迎えるにあたり、全曲再現ライブの実施と再レコーディングアルバム制作が発表されびっくりしました(詳細はこちら)。「あれ、こないだも全曲再現ライブやってなかったっけ?」と。あれってもう10年前のことで、発売15周年記念で行ったものだったんですね。時の流れの早さにただただ驚くばかりです。

というわけで、今日はW.A.S.P.が1992年に発表した通算5枚目のスタジオアルバム『THE CRIMSON IDOL』です。いわゆる王道HR/HMが好きな人なら、一度はこのアルバムに触れたこと、あるいはこのアルバムの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。1992年という、今思えばHR/HMシーンが冬の時代に突入したタイミングに発表されたこのアルバム。当初はフロントマンのブラッキー・ローレス(Vo, G)が相次ぐメンバー脱退を受け、ソロアルバムとして制作されたアルバムだったそうです。しかし、レコード会社からの「W.A.S.P.名義で発表したほうがいいのでは?」というアドバイスを受け、最終的には『THE HEADLESS CHILDREN』(1989年)に続くオリジナル作品になったという経緯があります。

作風的には、いきなりシリアス路線になってファンを驚かせた前作『THE HEADLESS CHILDREN』の流れにあるもの。前作ではアレンジ面でどことなくアメリカンロック的な陽気さもそこはかとなく感じられましたが、この『THE CRIMSON IDOL』ではその空気も払拭され、よりシリアスな正統派ヘヴィメタルアルバムに仕上げられています。

また、本作はジョナサン・アーロン・スティールという架空のロックスターを中心に物語が進行するコンセプトアルバムとなっています。前作『THE HEADLESS CHILDREN』ではTHE WHOの「Real Me」(有名なロックオペラアルバム『QUADROPHENIA(四重人格)』収録曲)をカバーしていましたが、思えばあの時点で「THE WHOのコンセプトアルバムみたいな作品を作りたい」といった構想があったんでしょうね。事実、『THE HEADLESS CHILDREN』には少なからずロックオペラ的要素が散りばめられていましたし。

そういった「コンセプトアルバム」「ロックオペラ」という枕詞に躊躇してしまいがちなメタルファンも多いかと思いますが、心配は無用。1曲目「The Titanic Overture」からいきなりノックアウトされるはずです。そのまま「The Invisible Boy」「Arena Of Pleasure」と疾走感のある王道メタルチューンが続くと、4曲目で名曲中の名曲「Chainsaw Charlie (Murders In The New Morgue)」が登場。この曲、最初はタイトルだけ知ったときは「ああ、ブラッキーの股間にノコギリ付いてたし、そういうのね」と半笑いでした。もちろん、曲を聴いて土下座したい気持ちになったのは言うまでもありません。この起承転結しっかりした9分近い大作こそが、『THE CRIMSON IDOL』というアルバムで何をやろうとしているのかを一番わかりやすく表しているのではないか、だから約9分というリスキーさはありながらも最初のシングルにピックアップされたんでしょうね。

続きを読む... "W.A.S.P.『THE CRIMSON IDOL』(1992)"

投稿: 2017 02 19 12:00 午前 [1992年の作品, W.A.S.P.] | 固定リンク

2017/02/18

SKID ROW『SUBHUMAN RACE』(1995)

湾岸戦争勃発を機に世界的不況へと突入していくさなかに発表されたSKID ROWの2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』は、それでも全米初登場1位、トータルセールス200万枚という当時の状況から考えれば上出来の結果を残しました。特にここ日本では1991年、1992年と2年連続でのツアーが実現し、前者では日本武道館、後者では代々木第一体育館とアリーナ会場でライブを実施する盛況ぶりを見せます。また1992年秋にはカバー曲で構成されたEP『B-SIDE OURSELVES』 を発表して、『SLAVE TO THE GRIND』に伴うワールドツアーをひと段落させるのですが、バンドはすぐに次作の制作には入りませんでした。これはHR/HMに取って代わりNIRVANAやPEARL JAMといったグランジ勢がシーンを席巻していたことで、マネジメントから新作制作に「待った」がかかったとも言われています。

空白の1993年を経て、1994年からは新たにボブ・ロックをプロデューサーに迎え3rdアルバム制作を開始。こうして1995年3月にようやくリリースされたのが、本作『SUBHUMAN RACE』なのです。

まず聴いておわかりのとおり、怒りと勢いで制作された前作と打って変わって、本作は同じ怒りをモチーフにしながらも非常にコントロールされた内容です。だからこそ、アレンジ面においてもテクニカルな要素が目につき、セバスチャン・バックのボーカルも時に抑制を効かせ、時に感情を爆発させるというメリハリがついたことで、全体的にダイナミックさが目立つ。また疾走感よりもグルーヴを重視したテンポ感は、『SLAVE TO THE GRIND』以降に発表されたMETALLICAのブラックアルバム、PANTERA『VULGAR DISPLAY OF POWER』などの新世代メタル作品、そしてSOUNDGARDENやALICE IN CHAINSといったグランジバンドからの影響と言えるでしょう。このテンポ感が軸にあることで、全体のトーンが定まっているようにも感じられます。

セバスチャン・バックが当時このアルバムを語る際、JUDAS PRIESTの『BRITISH STEEL』を引き合いに出していましたが、リフに次ぐリフというアレンジ、アップテンポの曲を含むものの基本的にはミドルテンポが持つグルーヴでぐいぐい引っ張り、音の鋭さで聴き手を圧倒させる作風は確かに通ずるものがあるように思います。

本作が発表された頃にはグランジブームもひと段落した時期ではあったものの、SKID ROWのようなバンドは一世代前の存在として片づけられてしまったためか、またレーベルがこの手のバンドと真剣に向き合わなかったためか、チャート的には全米35位という結果で終わってしまいます。とはいえ、オープニングを飾るグルーヴィーな「My Enemy」、地を這うようなリズムが気持ちいい「Beat Yourself Blind」、変拍子を用いたサイケな「Eileen」、「Slave To The Grind」を整理して一段上へと昇華させたような「Subhuman Race」、ヘヴィなリフ&ビートが心地よい「Frozen」、ダイナミックな「Face Against My Soul」や「Medicine Jar」、SKID ROWらしい泣きのバラード「Into Another」、感情を抑えた適度な熱量が魅力の「Breakin' Down」など良曲満載で、決して数字がすべてではないことを証明する1枚ではないでしょうか。

この翌年の1996年にバズ(セバスチャン)がバンドを脱退。SKID ROWの黄金編成はたった3枚で幕を降ろすことになり、2017年現在まで彼の復帰は一度も実現していません。つい先日、新たなシンガーとして元DRAGONFORCEのZPサートが正式加入したばかり。レイチェル・ボラン(B)がイエスと言わない限りは、残念ですが今後もバズの復帰は絶望的なんでしょうね。



▼SKID ROW『SUBHUMAN RACE』
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投稿: 2017 02 18 12:00 午前 [1995年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/17

SKID ROW『SLAVE TO THE GRIND』(1991)

デビューアルバムがバカ売れし、BON JOVIやMOTLEY CRUEのオープニングアクトから自身のヘッドライナーツアーへと移行すると、各地で大盛況。ところが、セバスチャン・バック(Vo)のトラブルメイカーぶりが各地で発揮され、一悶着起こして別の意味で話題になります。その矛先はバンドをデビューへと導いたBON JOVIへと向けられ険悪な雰囲気に。

そんな状況下で制作されたのが、1991年6月にリリースされた2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』です。前作『SKID ROW』では“パンクマインドでHR/HMを鳴らして”いましたが、本作ではパンクマインドがより肥大し、鳴らすサウンドもHR/HMよりも激しさを増しすという“Too much”な内容に仕上がっています。

サウンド的にも、よく整理されていて聴きやすかった前作から一変、より生々しさが増し、ドラムは前のめり感が強く、ギターも極力オーバーダビングされていないような印象を受けます。そしてボーカルの無軌道感……決まったメロディをしっかり歌うのではなく、感情の赴くままに歌い叫び、多少音程が外れようが気にしないし直さない。“Well-made”感が強かった前作とは真逆の、 “録って出し”感濃厚な仕上がりなのです(とはいえ、そこはマイケル・ワグナーの手腕によるものも大きく、実はギリギリのバランス感で成り立っているようにも聴こえます)。

楽曲的にもヘヴィブルースという呼称がふさわしい「Monkey Business」から始まり、“SKID ROW版「Ace Of Spades」”の呼び名がぴったりな「Slave To The Grind」、グルーヴィーな「The Threat」、前作でのバラードとはひと味違ったヘヴィさを持つ「Quicksand Jesus」と、1stアルバムの硬派な部分をより煮詰めたようなナンバーばかり。そこに直球すぎるタイトルの「Get The Fuck Out」や「Riot Act」といった疾走パンクチューン、のちのMETALLICA、PANTERAにも通ずるミドルヘヴィナンバー「Mudkicker」、ドラマチックな王道パワーバラード「Wasted Time」など緩急に富んだ楽曲が加わることで、“どこか一辺倒な雰囲気なのに、なんだかんだ最後までスルッと聴けてしまう”不思議な魅力を作り上げることに成功しています。

実はこのアルバムの発売タイミングからビルボードの集計方法が変わったことで、この『SLAVE TO THE GRIND』はアルバムチャート初登場1位という快挙を初めて成し遂げることになります。今では当たり前のような「初登場1位」を初めて獲ったのが、実はHR/HMアルバムというのも非常に興味深い話ですね。本作からはシングルヒットに恵まれず、唯一「Wasted Time」が全米88位にチャートインしたのみ。いわゆる“4 letter word”(Fuck だのShitだの下品な言葉)を多用した歌詞が多かったことでラジオから敬遠されたものの、アルバム自体は200万枚を超える数字を残しました。また、本作リリース後はPANTERAやSOUNDGARDENを前座に迎えてヘッドライナーツアーを行っていたのも、このアルバムを聴けばなるほどと頷けてしまいます。



▼SKID ROW『SLAVE TO THE GRIND』
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投稿: 2017 02 17 12:00 午前 [1991年の作品, Skid Row] | 固定リンク

2017/02/16

SKID ROW『SKID ROW』(1989)

“BON JOVIの弟分”的存在として1989年初頭にメジャーデビューを果たしたSKID ROW。デビュー作『SKID ROW』からの1stシングル「Youth Gone Wild」のMVは当時、ここ日本でもTBS『PURE ROCK』で毎回のようにオンエアされることでHR/HMファンの間で浸透していきました。だって曲良しサウンド良し、ボーカルのセバスチャン・バックのルックス良し声良しで非のつけどころが見当たらなかったんですから、仕方ないですよ。

“BON JOVIの弟分”云々は、メンバーのデイヴ・スネイク・セイボがジョン・ボン・ジョヴィの幼馴染で一緒にバンドをやっていたことがあること、ジョンが運営する「New Jersey Underground」のサポートでデビューにこぎつけたこと、同じドグ・マギーがマネジメントを担当していることから。『SLIPPERY WHEN WET』(1986年)で天文学的大ヒットを記録し、続く『NEW JERSEY』(1988年)もそれに匹敵するヒット作となったタイミングでのデビューだったこともあり、SKID ROWは1年と経たぬうちに大成功を手にします。

1stシングル「Youth Gone Wild」こそ全米99位と低調に終わりますが、続く泣きのバラード「18 And Life」は全米4位、アコースティックギターを取り入れたパワーバラード「I Remember You」も全米6位を記録し、アルバム自体も最高6位、現在までにアメリカのみで500万枚を超える大ヒット作となっています。ホント、アメリカにおける HR/HMブーム末期に登場した最後の大型新人という呼び名がふさわしい存在だったと思います。

ヒットシングルがバラードばかりですが、アルバム全体を覆うのは若さ、怒り、抑圧、衝動という攻めの空気感。パンキッシュな雰囲気の「Piece Of Me」やポップなHR「Can't Stand The Heartache」もありますが、基本的にはパワフルな「Big Guns」、疾走感あふれる「Sweet Little Sister」、そしてアンセミックな「Youth Gone Wild」などメタリックな色合いがこのバンドの持ち味。そこにパンクなスタンスが加わることで、バンドとして唯一無二の個性を確立していくことになります。

ちょうど西海岸からGUNS N' ROSESが登場し、それに応えるように東海岸からSKID ROWが登場。パンクマインドでHR/HMを鳴らしてはいるものの、最終的にお互い異なるスタイルを作り上げたのは非常に興味深いところです。



▼SKID ROW『SKID ROW』
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投稿: 2017 02 16 12:00 午前 [1989年の作品, Skid Row] | 固定リンク