2020/12/31

INDEX

当ブログにて公開中のレビュー、および1998年12月からスタートした『とみぃの宮殿』に掲載された記事を当ブログにて再公開したレビューのインデックスページになります。現時点で2000以上のエントリーがあるため、こちらは時間をかけながら、ゆっくりと完成させていく予定です。(随時更新中)

【0〜9】 【A】 【B】 【C】 【D】 【E】 【F】 【G】 【H】 【I】 【J】 【K】 【L】 【M】 【N】 【O】 【P】 【Q】 【R】 【S】 【T】 【U】 【V】 【W】 【X】 【Y】 【Z】 【あ】 【か】 【さ】 【た】 【な】 【は】 【ま】 【や】 【ら】 【わ】 【コンピレーション】 【フェスティバル/イベント】 【企画記事】 【100番勝負】

続きを読む... "INDEX"

投稿: 2020 12 31 12:00 午前 [「記事一覧」] | 固定リンク

2017/09/30

2017年9月のお仕事

2017年9月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※9月16日更新)


[WEB] 9月16日、「リアルサウンド」にaikoのライブ評「aikoのライブは常にスペシャルだーー攻めの姿勢と愛に溢れたツアー『Love Like Rock vol.8』」が公開されました。

[紙] 9月12日発売「ぴあMovie Special 2017 Autumn」にて、乃木坂46桜井玲香・西野七瀬・松村沙友理、富田望生インタビューを担当・執筆。(Amazon

[WEB] 9月9日、「リアルサウンド」にてシド インタビュー「シドが“3年半ぶりのアルバム”でも新鮮さを失わない理由 「不安を感じることも刺激になる」」が公開されました。

[紙] 9月6日発売「TV Bros.」2017年9月9日号にて、INORAN『INTENSE / MELLOW』アルバムレビューを執筆しました。

[WEB] 9月4日、ポニーキャニオン公式ニュースにてSuGライブレポート「SuG、活動休止。初の日本武道館公演で「10年間ありがとうございました!」」が公開されました。

[紙] 9月4日発売「日経エンタテインメント!」2017年10月号にて、「最新ヒットキーワード100」特集・蔦谷好位置インタビュー、乃木坂46伊藤万理華・桜井玲香・白石麻衣・松村沙友理インタビュー、北野日奈子・渡辺みり愛インタビュー、「アンダーライブの歴史」研究記事、および特別付録「乃木坂46 3期生パーフェクトガイド」内の乃木坂46大園桃子・向井葉月・山下美月・与田祐希インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

投稿: 2017 09 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2017/09/20

CATHEDRAL『STATIK MAJIK』(1994)

1994年に発表された、CATHEDRALの4曲入りEP。直近の最新アルバム『THE ETHEREAL MIRROR』(1993年)からの代表曲「Midnight Mountain」をリードトラックに、未発表の新曲3曲を加えた構成なのですが、これがEPとかミニアルバムとは呼べないようなボリュームでして……4曲で40分超の、フルアルバム並みの内容なんです。

「Midnight Mountain」は今さら言うまでもなく、ダンサブルなビートを用いることで、CATHEDRALが単なるBLACK SABBATHフォロワーではないオリジナルな存在へと導くことに成功した1曲。発売から24年経った今聴いても、やっぱりカッコイイですもんね。

で、残り3曲が本作で初公開の新曲になるわけですが、「Hypnos 164」「Cosmic Funeral」は『THE ETHEREAL MIRROR』に収録されていても不思議じゃない、ドゥーミーなハードロック。1曲の中にいくつもの展開が用意されており、リー・ドリアン(Vo)のヘタウマボーカルが曲に合った安定感を放ち始めているから不思議です。特に「Cosmic Funeral」は途中で挿入される鍵盤(オルガン?)の音色が70年代の香りを醸し出しており、そこから突入する2本のギターバトルがハンパなくカッコイイ。1stアルバム『FOREST OF EQUILIBRIUM』(1991年)でのダークでドゥーミーで超低速な世界観がまるで嘘のように感じられるほどに。

ここまで1曲5分前後。「Cosmic Funeral」のみ7分もありますが、トータルでも17、8分です。ということは……そうです、ラストの「The Voyage Of The Homeless Sapien」が約23分もある超大作なのです!(笑)

序盤のヘヴィでダークで超スローな展開は、まさしく彼らが『FOREST OF EQUILIBRIUM』で表現していたスタイル。これをデス声ではなくヘタウマボーカルで表現することにより、『FOREST OF EQUILIBRIUM』とはまた異なる世界観が構築されていくのです。

しかもこの曲、単なるドゥームメタルではなく、曲が進むにつれてさまざまな展開を見せていく。もはやプログレッシヴロックのそれに匹敵する世界観なのです。アナログ時代でいえば、A面でシングルカットできそうな5分程度の楽曲を数曲並べておいて、B面で組曲風の超大作を入れる。世が世なら本作こそ『THE ETHEREAL MIRROR』に続く3rdアルバムになっていたかもしれません。

しかし、そこはリー・ドリアンとギャリー・ジェニングス(G。本作ではBも担当)のこと。ここで試したことはあくまで実験の一環で、あれこれ試した結果、次作『THE CARNIVAL BIZARRE』(1995年)はよりストレートで王道のハードロック路線を選ぶわけです。

アメリカでグランジ/グルーヴメタルが流行っていた中、イギリスからはCATHEDRALみたいな突然変異的バンドが登場していた。決して主流にはなれなかった音ではなるものの、当時の時代背景を考えると当時CATHEDRALが残した作品群は非常に興味深いものがあります。ぜひ「The Voyage Of The Homeless Sapien」1曲だけでもいいんで、聴いてもらいたいものです。

ちなみに、日本盤はさらにボーナストラック(日本未発売だった以前のEP収録曲など)を追加した、全9曲・70分超の大作となっております(笑)。



▼CATHEDRAL『STATIK MAJIK』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 20 12:00 午前 [1994年の作品, Cathedral] | 固定リンク

2017/09/19

CORROSION OF CONFORMITY『DELIVERANCE』(1994)

ノースキャロライナ出身のハードコア/メタルバンドCORROSION OF CONFORMITY(以下、C.O.C)が1994年秋に発表した、通算4作目(メジャー移籍1作目)のスタジオアルバム。マイク・ディーン(Vo, B)脱退後に加入した専任ボーカルのカール・エイゲルが唯一参加、そしてペッパー・キーナン(Vo, G)が初参加した前作『BLIND』(1991年)から3年ぶりの新作で、本作でマイク・ディーンが復帰。ペッパーが大半の楽曲でリードボーカルを担当しています(マイクも1曲のみボーカル担当)。

全14曲中でペッパーが単独で4曲、他メンバーとの共作で8曲とソングライティング面で大活躍。これによるものが大きいのか、前作までのハードコアとスラッジを融合させたようなサウンドが、今作ではよりレイドバック気味な方向に転換しています(とはいえ、前作の時点で今作への予兆は感じられたのですが、まさかここまで大きな舵取りをするとは当時誰も想像してなかったのではないでしょうか)。

どこかBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィロックサウンドは、良く言えば先のようにレイドバックした本格派に、悪く言えばオッサン臭くなった。ただ、この方向転換が功を奏し、バンドのキャリア上もっとも成功したアルバムとなりました。同じサバスからの影響という意味では、イギリスのCATHEDRALとの共通点もないことはないですが、そこまでの(良い意味での)“コピー感”は皆無。それよりもアメリカのバンドらしい“埃っぽさ”が全面に散りばめられているところに、このバンドの個性が感じられるのではないでしょうか。

そういう意味ではサバスほどの邪悪さや陶酔感は皆無で、カラッとしたサウンドがただひたすら気持ち良い。ストーナーロック的側面で語れば、ジョシュ・ホーミがかつて在籍したKYUSS、そしてのちに結成するQUEENS OF THE STONE AGEにも通ずるものがありますが、ペッパーの歌声のせいもあって、ブラックアルバム以降のMETALLICAとの共通点も感じられます。

そういえばC.O.Cの次作『WISEBLOOD』(1997年)にジェイムズ・ヘットフィールドがゲスト参加したり、逆にペッパーがMETALLICAの作品にゲスト参加したり、しまいにはジェイソン・ニューステッド脱退後のオーディションにベーシストとして招いたりと、METALLICAの面々にはよほど気に入られていたようですね(C.O.Cから影響を受けて、『LOAD』『RELOAD』がああいう作風になった、なんて話もあるくらいですし)。

ハードコアとメタルのクロスオーバーサウンドが楽しめるという点においては、前作『BLIND』のほうが評価が高いのかもしれませんが、現在まで続くこのバンドのスタイルを確立させたという意味では、本作『DELIVERANCE』は非常に重要な1枚と言えるでしょう。個人的にも本作と次作『WISEBLOOD』はかなり気に入っている作品です。



▼CORROSION OF CONFORMITY『DELIVERANCE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 09 19 12:00 午前 [1994年の作品, Corrosion of Conformity] | 固定リンク

2017/09/18

PRONG『CLEANSING』(1994)

ニューヨーク出身のクロスオーバー(懐かしい響き……)/スラッシュメタルバンドPRONGが1994年初頭に発表した、通算4作目(メジャー3作目)のスタジオアルバム。前作までのマーク・ドッドソン(ANTHRAXSUICIDAL TENDENCIESMETAL CHURCHなど)から代わり、今作ではテリー・デイト(SOUNDGARDENPANTERADEFTONESなど)にプロデューサー変更。さらにベーシストが元KILLING JOKEのポール・レイヴンに替わったほか、新たにキーボーディストが加わり4人編成に。

とはいえ、スラッシュメタルを軸にしつつもどこか無機質でインダストリアル調のヘヴィサウンドは健在です。ヘヴィなリフとグルーヴィーなリズムが織り成す気持ち良さが最高なオープニング曲「Another Wordly Device」からスラッシーなファストチューン「Cut-Rate」まで、頭4曲の構成は圧巻の一言。そこからヒップホップの影響すら感じさせるミディアムテンポの「Broken Peace」、“もしBLACK SABBATHがインダストリアル調になったら”な表現がぴったりな「One Outnumbered」など、とにかく聴きどころの多い1枚です。

トミー・ヴィクター(Vo, G)のダミ声ボーカルは、PANTERAというよりもHELMETのそれに近く、スラッシュメタルのカラーを残しつつグルーヴ感を強調した作風からもHELMETと比較されることが当時は多かったように記憶しています。

しかし、こうやって今聴いてみると新加入のポール・レイヴンのカラーなのか、どこかKILLING JOKEにも通ずる点も多いんですよね。そういう意味では、最新のテイストを取り入れつつもバンドの原点へと接近していった“原点回帰にして新境地に突入した”意欲作と呼べるでしょう。本作があったから続く次作『RUDE AWAKENING』(1996年)にたどり着けたわけですしね。

PANTERAの大ブレイク以降HR/HMシーンの主流となりつつあった“モダンヘヴィネス”の流れを汲む、非常に気持ち良いノリと重さを兼ね備えた好盤にも関わらず、ここ日本ではさほど高い評価を得ることがなかった。HELMETのほうが先に成功を収めたしまったため、またメタル上がりだったことからPRONGは本国アメリカでもこれといった大成功を収められませんでした。とはいえ、本作は本国でもっとも成功したアルバムなんですよね(全米126位ながらも30万枚以上のセールスを記録)。バンドは『RUDE AWAKENING』リリース後に解散してしまいますが、2002年には早くも再結成。ここ数年は毎年のように新作をリリースしているので、興味を持った人は本作と『RUDE AWAKENING』あたりからぜひ手に取ってみてはどうでしょう。



▼PRONG『CLEANSING』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 09 18 12:00 午前 [1994年の作品, Killing Joke, Prong] | 固定リンク

2017/09/17

THERAPY?『NURSE』(1992)

北アイルランド・ベルファスト出身のトリオバンドTHERAPY?による、1992年秋発売のメジャー1stアルバム。1991年後半と1992年前半にそれぞれミニアルバム『BABYTEETH』『PLEASURE DEATH』をインディーズから発表し、のちにメジャーのA&Mと契約し、リリースされたのがこの『NURSE』というフルアルバムになります(『BABYTEETH』『PLEASURE DEATH』の2作品に収録された全楽曲は、のちに北米地区で『CAUCASIAN PSYCHOSIS』と題したコンピレーションアルバムとしてリリース)。

『BABYTEETH』や『PLEASURE DEATH』で展開された「オルタナインディロックとインダストリアルメタルをミックスしたサウンド」「カンカン鳴るメロタムの音と反復するパーカッシブなリズム、それに合わせてシークエンスされるギターリフ」「無機質だけど、どこかエモーショナルなメロディ」といった要素が、本作ではより強まっており、それが早くもこのバンドの個性として確立されつつあることが伺えます。オープニングを飾る「Nausea」はもちろんのこと、続くシングルヒット曲「Teethgrinder」はまさにそのもっともたる1曲と言えるでしょう。

かと思えば、次作『TROUBLEGUM』(1994年)以降その色合いがより強まっていく、ダークでひんやりとしたミディアム/スローのエモーショナルな要素が「Gone」あたりから感じられ、メジャーデビュー作の時点で“今後の大変貌の予兆”が散りばめられています。特にチェロを導入した叙情的な「Gone」、ダブのテイストを取り入れつつもどこかダークな「Deep Sleep」あたりはJOY DIVISIONに通ずるカラーがあり、このバンドがどこから生まれ、どこに向かっていこうとしているかが何となく理解できるのではないでしょうか。

ヘヴィなギターリフなメタリックな曲調が一部混在していることから、どうしてもHR/HMの流れを組むバンドと認識されそうですが、どちらかと言えば同時代にアメリカで勃発したグランジムーブメントに対するヨーロッパからの返答だったのでは……なんて言ってしまっては大袈裟でしょうか。残念ながら、彼らに続くような個性的なバンドがそこまでおらず、時代はもっと肉感的なダンスミュージック(マッドチェスターなど)へと接近。続くブリットポップにもかすらなかったものの(だからMANIC STREET PREACHERSTHE WiLDHEARTSといったバンドと共闘したのも頷ける話)、次作『TROUBLEGUM』を機にチャート的にも成功を収めるので、まぁよかったのかなと。



▼THERAPY?『NURSE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 17 12:00 午前 [1992年の作品, Therapy?] | 固定リンク

2017/09/16

FOO FIGHTERS『CONCRETE AND GOLD』(2017)

FOO FIGHTERS待望のニューアルバムが昨日リリースされました。本作は2014年11月発売の8thアルバム『SONIC HIGHWAYS』から3年ぶりに発表される新作で、THE BIRD AND THE BEEのメンバーにして、シーアやアデル、P!NK、リリー・アレンなどポップス系プロデューサーとしても知られるグレッグ・カースティンと共同制作したもの。それ自体がすでに実験なのに、本作は事前に“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”などと比喩されていたもんですから、そりゃあ期待が高まるってものですよ。

かなり早い段階で本作からの先行シングル「Run」が公開されていましたが、この1曲のみではその真偽は確認できず。で、リリースに先駆けて雑誌レビュー用にこのアルバムを聴くことができたので、今日はその際のメモを元に全曲解説をしていけたらと思います。


M1. T-Shirt
ギター弾き語りかと思いきや、大袈裟でスケールの大きなバラードへと変化。1分半程度の短い曲で、どこかQUEENのアルバムを彷彿とさせる。

M2. Run

1曲目から間髪入れずに突入。じわじわと盛り上がる構成と、ヘヴィかつグルーヴィーなサウンド&アレンジに新たな可能性も。とにかくスケールが大きい1曲。

M3. Make It Right [ジャスティン・ティンバーレイク参加曲]
「Run」同様グルーヴィーな楽曲だが、こちらはリズムの1音1音がとにかく重い。コーラスの入れ方が非常にポップで、単なるハードロック/ヘヴィロックバンドにはできない取り組みでは? リズムの抜け感、エフェクトのかけ方もインパクトが強く個性的。

M4. The Sky Is A Neighborhood [アリソン・モスハート参加曲]

“ヘヴィロック版ジョン・レノン”みたいな、強いサイケ感を持つミディアムヘヴィナンバー。ストリングスの入り方、コーラスの重ね方が非常にキャッチー。と同時に、音の抜き方、空白の使い方などアレンジが絶妙。

M5. La Dee Da [アリソン・モスハート参加曲]
歪みまくったベースによるイントロが、どこかQUEENS OF THE STONE AGEっぽい。ヘヴィなガレージロックかと思いきや、ピアノの音色やキャッチーなメロディが合わさることで気持ちよさ急増。拍の取り方が倍になる(テンポが速くなる)と、一気にハードコア感が増す。ここまで実験的要素が強く、ひたすらヘヴィなのにしっかりポップさが保たれているのがFOO FIGHTERSらしいのか、それとも今作のプロデューサーの手腕によるものなのか。

M6. Dirty Water [イナラ・ジョーンズ参加曲]
いきなり爽やかな曲調に(笑)。どこかボッサ調でもあり、ファルセット+オクターブ下の地声で歌う優しい声が耳に残る。複数のコーラスが重なることで生まれるハーモニーの心地よさに驚かされる瞬間も。FOO FIGHTERSらしいのに今までにないような感触もあり……と思ったら、後半でしっかり激しくなる攻めの1曲。女性コーラスが入る(M4〜6)ので、歌の豊かさはこれまで以上では。

M7. Arrows
メロディの流れ、コードの使い方に80年代ハードロック的カラーが。すごくストレートなメロディアスHR。が、どこかビートルズ的でもあり。5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)で試した実験の延長線上?

M8. Happy Ever After (Zero Hour)
後期ビートルズ(主にポール・マッカートニー)がやっていたようなアコースティックナンバーのFOO FIGHTERS的解釈。攻めまくりのアルバム前半と、この曲以降の流れのコントラストが素敵すぎ。

M9. Sunday Rain [ポール・マッカートニー参加曲]
完全にビートルズ(笑)。ジョンぽくもありポールぽくもあり、でもジョージぽくもある(笑)。そんな1曲でポール本人がドラムを叩くのも興味深い。テイラー・ホーキンスのボーカルもどこかポールに似てる(意識して真似てる?)。

M10. The Line

前曲のアウトロ?この曲のイントロ?のジャジーなピアノからダークな歌い出し。が、全体を覆うアンセム感がさすがの一言。どんなにアンダーグラウンドな方向に進もうとしても、デイヴ・グロール持ち前のポップネストプロデューサーの仕事ぶりでうまく調和されてしまうのは、もはやこのバンド最高の強みでは。

M11. Concrete And Gold [ショーン・ストックマン参加曲]
ダウナーなヘヴィバラード。どこかNIRVANA時代を思い浮かべてしまう1曲。かと思えば壮大なコーラス&ハーモニーがかぶさり、まるでQUEENの現代的解釈のようでもある。NIRVANAっぽいとはいえ、どこかポジティブさに満ちている気も。これこそデイヴの人柄そのものなのでは。ある種、このアルバムにおける究極の1曲。


以上となります。

確かに本作には“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”的なカラーが満載でした。が、個人的には“LED ZEPPELIN+MOTORHEAD×『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”が正解なのではないかと思います。単なるハードコア(MOTORHEAD)で終わらず、しっかり大衆性を持った王道ハードロック(LED ZEPPELIN)のカラーも維持しながら、新たな実験にも挑んでいる(『SGT. PEPPER'S〜』)。実験要素は足し算ではなく、今回は掛け算なのかなと思いこういう表現をしてみました。

と同時に、これは矛盾するかもしれませんが……本作は“引き算のアルバム”でもあるなと感じました。それはプロデュース方法によるものが大きいのかもしれませんが、音数が多いにも関わらず、しっかり“抜き”の技術が多用されている。そのバランス感が本当に絶妙で、過去のFOO FIGHTERSのアルバムにはなかったものじゃないかと思うのです(これまでも“抜き”はあったけど、それは0か100かくらい大きなものとして使用されていたように思います)。

発売後改めて何度か聴いてみて思ったのは、もしかしたらFOO FIGHTERSは80年代以降のQUEENみたいな存在になろうとしているのではないか、あるいはそうなれるのではないかということ。それくらい大衆性とアーティスティックな実験要素を両立させながら、どんどん大きくなっているんだから。今、周りを見渡してもこんな“ハードロック”バンドなかなかいませんよ。

デイヴのソロプロジェクトから始まったこのバンドが、スタートから20数年でここに到達するとは……ただただ驚きです。そして、こんなアルバムだからこそロック低迷の今、バカ売れしてほしいと願っております。



▼FOO FIGHTERS『CONCRETE AND GOLD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 09 16 12:00 午前 [2017年の作品, Foo Fighters, Paul McCartney] | 固定リンク

2017/09/15

R.E.M.『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』(1992)

1992年秋発表の、R.E.M.通算8枚目のスタジオアルバム。前年春にリリースした前作『OUT OF TIME』が初の全米1位を獲得し、ノリにノッている状況で1年半という短いスパンで発表された本作。『OUT OF TIME』がポップな作風だったこともあり、当初次作ではロック色の強い作品を想定して、前作完成からすぐにセッションに取り掛かったそうですが、実際に完成したものは一聴すると非常に内向的なもの。先行シングルにしてオープニングトラックの「Drive」を最初に聴いたときは、正直「……暗っ!」と若干引いたことを覚えています。

そう、“暗いアルバム”というのが『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』に対する第一印象。ロック色の強い作品は2年後の『MONSTER』(1994年)まで待つことになりますが、本作は本作で表層的には暗いんだけど、実は非常に優しくて温かいアルバムなんですよね。

アメリカの音楽シーンはちょうど1年前にNIRVANAPEARL JAMがメジャーデビューを果たし、数ヶ月後に大ヒット。すでに本作がリリースされる頃にはグランジが一大ブームとなっていた時期でした。また情勢的にも湾岸戦争以降の不況、アメリカ大統領選挙(1992年)など時代の変わり目でもあったわけです。

そんな中でR.E.M.がこのアルバムでテーマとして選んだのが「死」や「絶望」といった一見ネガティブなもの。しかし、彼らはそのテーマを最終的に非常に前向きで、「生」へとつないでいくわけです。ポジティブに背中を押す楽曲もあれば、逆説的に生の尊さを伝えようとする楽曲もある。傷つきながらも現実から目をそらさず、希望を捨てず、生きることを諦めない。ラストナンバー「Fined The River」にたどり着く頃には、その答えが聴き手の心の中にそれぞれ見つかるんじゃないかと思います。

だからこそ、「Everbody Hurts」という曲の歌詞がより強く響く。楽曲単位でも素晴らしいナンバーですが、このアルバムのテーマに沿って聴くことで、その意味はより深いものに感じられるはずです。そして終盤……「Man On The Moon」「Nightswimming」「Find The River」の流れは圧巻の一言。この時代だったからこそ成し遂げることができた、珠玉の楽曲構成ではないでしょうか。

アコースティック楽器を多用していたり、ストリングスを全面的に導入したり(ジョン・ポール・ジョーンズがオーケストラアレンジを担当)とソフトな面が印象に残る作品ですが、実はものすごく“力強い”アルバムだと思っています。R.E.M.のアルバム中もっとも好きな1枚です。



▼R.E.M.『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 15 12:00 午前 [1992年の作品, Led Zeppelin, R.E.M.] | 固定リンク

2017/09/14

ESKIMO CALLBOY『THE SCENE』(2017)

ドイツ出身のスクリーモ/エレクトロニコアバンドの4thアルバム。2014年発売の2ndアルバム『WE ARE THE MESS』は聴いていたのですが、続く3rdアルバム『CRYSTALS』(2015年)の未聴のままで今作に触れてみました。

まず、本作ではサウンド/楽曲が非常に整理されているなという印象が強い。以前の彼らが持っていたハチャメチャな雰囲気が一掃され、全体的にシリアスな空気が漂っている。どこかBRING ME THE HORIZONの最新作『THAT'S THE SPIRT』(2015年)の空気感に通ずるものがあり、あの作品の成功に影響を受けたのは明白かと思います。

また、もろもろ整理されたことで非常に聴きやすくなったのも本作の特徴。どの曲もキャッチーだし、耳障りの良いメロディとシンガロングしたくなるサビメロを持ち合わせている。アクセントとしてしっかりEDMの要素も取り入れているものの、そのへんは以前ほど濃いものではない。例えば4曲目「Banshee」でのゴリゴリしたサウンドに、色付け程度でシンセのシーケンスサウンドが乗る程度。正直、このくらいの取り入れ方だったら同じようなバンドは他にもたくさんいるよね、と。

そう、このバンドならではの“絶対的な個性”が本作ではメロディセンス以外に感じられないんですよね。もちろん、そこが強いバンドが最終的に生き残るとは思うんですが、サウンドメイキングに関しては“絶対的な個性”は薄まっているんじゃないかなと。そこがすごく勿体ない気がするんですが、これってこの手のバンドが必ず通る鬼門なのかもしれないですね。

曲単位でも『THAT'S THE SPIRT』を意識したナンバーがいくつか見受けられるのは、微笑ましいといえばそれまでだけど、もうあのアルバムも2年前のヒット作であり、BMTH自身も次に進むべき道を現在模索してる最中だと思うんですよ。うん、そういう意味では本作でやっていることは、少なくともあと1年早くやるべきでしたよね。全体的な出来が良いだけに、非常に勿体ない。本当にその一言です。

なんて否定的なことばかり書いてますが、基本的にアルバムとしての出来は素晴らしいです。平均以上の仕上がり。80点以上あげてもいいとさえ思ってる。けど、90点の壁を超えられないのは、先に触れた“絶対的な個性”の部分ね。もしかしたら次のアルバムでさらに化けるのかも……と期待しておきます。



▼ESKIMO CALLBOY『THE SCENE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 14 12:00 午前 [2017年の作品, Eskimo Callboy] | 固定リンク

2017/09/13

SEPULTURA『CHAOS A.D.』(1993)

1993年秋に発表された、ブラジルのヘヴィメタルバンドSEPULTURAの5thアルバム。前作『ARISE』(1991年)で世界的に認知され始め、ここ日本でも初来日公演が実現したほか、アメリカではBillboard 200に初めてランクイン(最高119位)。また『ARISE』での成功を受けて、アメリカでは次作がメジャーのEpic Recordsから配給されることも決定。今作が勝負作になることは明白でした。

ですが、オールドスクールのスラッシュメタルを武器とした『ARISE』から一変、本作では“PANTERA以降”のモダンヘヴィネスサウンドに様変わり。プロデューサーもスラッシュ/デスメタルを得意とするスコット・バーンズから、モダンなバンドばかりを手がけるアンディ・ウォレスに替え、ミドルテンポ主体のグルーヴ感に満ち溢れた楽曲に挑戦しています。

確かにこの時期、METALLICAがブラックアルバム(1991年)で成功したのを機に、MEGADETHANTHRAXもテンポを落として重さを重視したサウンドに移行しており、これが流行りであり主流と言ってしまえばそれまでかもしれません。事実、シーン中心にはNIRVANAPEARL JAMなどのグランジ勢が君臨し、旧来のメタルはオールドスクール呼ばわりされて敬遠されていたのですから。そんな中メガヒットを遂げたMETALLICAや、メタル界の新星として人気を獲得したPANTERAの恩恵を受けようとするのは、致し方ないのかもしれません。

SEPULTURAの変化も確実にこの流れにあるものと思われますが、彼らがその他のバンドと一緒くたにされずに済んだのは、SEPULTURAというバンドがブラジル出身だという事実。例えば本作には「Kaiowas」というブラジルの民族音楽から影響を受けたインストゥルメンタルナンバーは、他のメタルバンドには真似できない武器であり、この実験が次作『ROOTS』(1996年)で開花するわけです。

もちろんそれ以外の楽曲も単なる“フォロワーの真似事”で終わっておらず、このバンドらしいパーカッシヴなドラミングをフィーチャーした「Refuse/Resist」「Terriory」は今聴いても最高だし、ブルドーザーが突進してくるかのような重量感をみせる「Slave New World」「Propaganda」、狂気すら感じさせる攻撃的な「Biotech Is Godzilla」はもちろん、本作において唯一メロディアスなカバー曲「The Hunt」(原曲はNEW MODEL ARMY)が良いアクセントになっていたりと、とにかく聴きどころ多し。下手なメタルもどきを聴くぐらいなら、ずっとこの音に浸っていたい。そう思わせるぐらいの気持ち良さが本作にはあると思います。

この10月(国内盤は11月)には本作と『ROOTS』の最新リマスター&ボーナスディスク付き仕様も発売。ぜひこの機会に、マックス・カヴァレラ(Vo, G)在籍時のSEPULTURAを振り返ってみてはいかがでしょう。



▼SEPULTURA『CHAOS A.D.』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

投稿: 2017 09 13 12:00 午前 [1993年の作品, Sepultura] | 固定リンク

2017/09/12

JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』(2000)

2000年に発表されたジミー・ペイジTHE BLACK CROWESによる共演ライブアルバム。1999年10月にロサンゼルスのTHE GREEK THEATERで行われたライブを収めたもので、全曲カバー。メインとなるのはペイジが在籍したLED ZEPPELINの楽曲で、そのほかにツェッペリン界隈(B.B.キング、YARDBIRDS、ジミー・ロジャース、ウィリー・ディクソン、FLEETWOOD MAC、エルモア・ジェイムズ)のカバーも含まれています。

ちょうどこのライブが行われる数ヶ月前、THE BLACK CROWESがフジロックに出演した際、本作でも取り上げられている「In My Time Of Dying」を完コピしてビックリした記憶があるのですが、あとから考えたらあのカバーは本作への序章だったのですね。フジロックで観たとき「クリス・ロビンソン(Vo)ってロバート・プラントみたいに歌えるんだね」と、なんの違和感もなく楽しめたのをよく覚えています。

ピックアップされたツェッペリンナンバーですが、敢えて「Rock And Roll」や「Stairway To Heaven」「Immigrant Song」「Communication Breakdown」のようにベタなハードロックナンバーは選ばず、基本はブルースを軸にした楽曲ばかり。さすがに『IN THROUGH THE OUT DOOR』(1979年)からの楽曲はありませんが、そのほかのスタジオアルバムから万遍なくセレクトされています。「Hey, Hey, What Can I Do」(シングル「Immigrant Song」のB面。アルバム未収録)あたりを選ぶところにも、こだわりが感じられるというか……あ、ジミー・ペイジの趣味かもね。

ギターの振り分けですが、おそらく中央にジミーのギター。左右にTHE BLACK CROWESの2人(リッチ・ロビンソン&オードリー・フリード)が振り分けられてるんじゃないかと。ヘッドホンで聴けば、それぞれの持ち味がしっかり把握できるはずです。誰ですか、中央のギターが下手くそとか言ってる人は?

THE BLACK CROWESファンとしては、ジャムセッションの延長で下手に曲が間延びすることなく、比較的オリジナルに忠実な形で演奏されていることから素直に楽しめると思うし、ツェッペリン曲以外のブルースナンバーのカバーに彼らの真髄が感じられるのではないでしょうか。特に彼らのデビュー作『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)にタイトルを引用したであろうエルモア・ジェイムスの「Shake Your Money Maker」が聴けちゃうのも良いところでは。

また、ジミー・ペイジ側の視点ではデヴィッド・カヴァーデイルとのCOVERDALE・PAGEロバート・プラントとのPAGE / PLANT以降パーマネントのバンドを持たないペイジがこうやって若いミュージシャンと一緒に何かをやることは悪いことじゃないし、しかもツェッペリンナンバーはこれでもか!?と言わんばかりに演奏してくれるのもありがたい。本当に最適な相手を見つけましたねと、褒めてあげたい気分です。実際、ペイジのギターも思っていた以上に生き生きしてますしね。

最高の“お遊び”をこうやって記録として残してくれたのは、双方のファンのみならずロックリスナーにとっても嬉しいかぎり。余計なことを考えずに、素直に楽しみたいライブアルバムです。



▼JIMMY PAGE & THE BLACK CROWES『LIVE AT THE GREEK』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD / MP3

投稿: 2017 09 12 12:00 午前 [2000年の作品, Black Crowes, The, Jimmy Page, Led Zeppelin] | 固定リンク

2017/09/11

FOO FIGHTERS『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』(1999)

前作『THE COLOUR AND THE SHAPE』(1997年)完成後にテイラー・ホーキンス(Dr)が加入、さらにツアー途中でパット・スメア(G)が脱退したFOO FIGHTERS。デイヴ・グロール(Vo, G)の旧友フランツ・スタール(G)が途中参加するものの、すぐに脱退してしまい、来たる3rdアルバムのレコーディングはデイヴ、テイラー、ネイト・メンデル(B)の3人で突入することに。こうして1999年秋に発表されのが、本作『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』です。

しかし、ツアーで苦楽を共にした3人で制作したことが大きく影響したのが、本作にはバンドとしての一体感が前作以上に強く感じられる作風です。思えば前作は途中からデイヴがドラムを叩くことになってしまい、完全なるバンドとは言えなかったかもしれません。そのぶん、今作ではテイラーがしっかりリズムの屋台骨を支えていることもあって、全体的に安定感のあるバンドアンサンブルが楽しめます。

また、サウンド的にも前作までに残っていたグランジ、ポスト・グランジ色が払拭され、より王道ハードロック、スタジアムロックとしての強さが表面に表れ始めています。冒頭2曲(「Stacked Actors」「Breakout」)の力強さとハードさ、そして「Learn To Fly」の歌モノハードロックとしての強度は、すでに完成の域に達しつつあります。

「Gimme Stitches」「Live-In Skin」のパワフルなビート、「Generator」の軽快さ、「Aurora」「Headwires」の浮遊感、「Next Year」「Ain't It The Life」のポップさからは過去2作での経験を踏まえつつ、より進化したバンドの姿が感じられるし、アルバムを締めくくる「M.I.A.」の壮大さからは、もはやこのバンドを「NIRVANAの亡霊」みたいな目で見ちゃいけないんだということが感じられる。つまり本作は、ようやくFOO FIGHTERSが“本当のバンド”になったんだなということを高らかに宣言するアルバムなのかもしれません。

ところが、続く4thアルバム『ONE BY ONE』(2002年)でFOO FIGHTERSは“本当のバンド”から“ホンモノのバンド”へとバージョンアップすることになるのですが、それはまた次回語ることにしましょう。

今聴いても良曲が多い1枚なのですが、最近のライブでは「Learn To Fly」と「Breakout」ぐらいしか披露される機会がないのが残念でなりません(最新ツアーではたまに「Aurora」や「Generator」も披露されているようですが)。まぁそれだけ4thアルバム以降“ライブでマストな代表曲”が増えたってことでしょうし、仕方ないのかもしれませんが。



▼FOO FIGHTERS『THERE IS NOTHING LEFT TO LOSE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 09 11 12:00 午前 [1999年の作品, Foo Fighters] | 固定リンク